チンギス・ハーンが作り上げたモンゴル帝国 後編
さてさて、前回に引き続きモンゴルのお話しです。
まず金融事情です。
モンゴルは、定期預金の利率が良く、お金の運用では定期預金が一番だそうです。
例えば、3ヶ月から24ヶ月までの期間で定期預金の利率が設定されており、
利率は最高で年利14%。
ちなみに、モンゴル国外からの送金やモンゴル国内への送金も自由で、
この点が中国などと大きく異なるところです。
一方、商業銀行の貸出金利は日本と比べてかなり高く、
2010年の金利は年利11.7~27.8%だったそうです。
モンゴルの金融市場の競争は不完全で、資金調達コストが高く、税負担も重い。
金利は高く、融資は短期的で投機的なものが多いうえに、貸し出し規模も小さい。
そのため事業に当たっては、ある程度の運転資金を資本金に加えて、
資金調達に余裕を持たせておくことが必要なようです。
人口は約280万人で、若い人が多いというものの、全体として労働人口が少ないです。
また、モンゴル人は技術力を身につけていないので、
雇用に関しては中国人が多いようです。
しかし、外国人労働者に対しては結構厳しくて、
一時的に働く、いわゆる海外労働者は、
基本的にモンゴル政府に対して労働税を払わなければならないのです。
これがまた非常に高いんですよ。
しかし、北朝鮮からの出稼ぎ労働者に関しては例外的に一切税金がかかりません。
え~、なぜ?
実は、モンゴルは20年前まで社会主義だったこともあり、
現在でも北朝鮮とは太いパイプがあるからです。
北朝鮮からの労働者は非常に多いのですが、
北朝鮮の貴重な外貨獲得の手段となっている現状があります。
近い将来、朝鮮半島で大きな変革が起こった時には、
北朝鮮・韓国のいずれとも親しい関係を築いているモンゴルは
政治的に貴重な役割を果たすかもしれません。
海洋に接していないので、輸送は中国かロシアを通して行わなければならないし、
おまけに冬は気温がマイナス30度になる非常に寒い国なので結構大変。
次は住宅事情です。
都市部のマンションの傾向は、40~55?の1K、ILDKのワンルームマンションのタイプが多く、
これは中間層をターゲットとしています。
ウランバートルのマンションは全てセントラルヒーティングになっているので、
このための熱源は火力発電所が供給しています。
日本と異なり、モンゴルの発電所では電気だけでなく熱も供給しています。
石炭火力発電所であれば石炭を燃やし、
タービンを回して電気を作るのと同時にボイラーも使ってお湯も沸かします。
そしてできたお湯をパイプラインを通して市内中に流しており
建物には配管が張り巡らされ壁の上から下まで暖まります。
この暖房管理をすべて国で行っています。
ゲル地区というインフラが未整備な地域がありますが、
ここではセントラルヒーティングは行われていません。
タンクに水を入れて自分たちで沸かして暖房をしています。
そのための熱源として石炭を生でそのまま燃やしているので、
そこから発生する煙が大気汚染を引き起こして社会問題化しているようです。
かつてチンギス・ハーンが作り上げ、ユーラシア大陸のほとんどを
支配下におさめたモンゴル帝国。
鎌倉時代の日本に対しても2度にわたり侵攻してきたことはよく知られていますね。
1911年に中国から独立し、
その後、1990年にソ連の支配下から脱却し社会主義から市場経済へ移行しました。
資本主義経済や自由主義という思考回路が導入されて
わずか20年程度しかたっていないのがモンゴルです。
2012年は日本とモンゴルが国交正常化して20年の節目に当たる年です。
日本とモンゴルは、お互いに基本的な認識が進んでいないのも事実ですが、
資源が豊富なこの国と
今後パートナーシップによりビジネスが発展すればいいですね。