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[林則行氏のコラムより]英語、本音の上達法!Vol.13

魔法のように会話を楽にする『get』

今日のポイント

・get+名詞で多くのことが言える。have+gotの形で覚えよう。

 

2つの意味を覚えるだけでGetはゲットできる

 

英文を簡単に組み立てるには動詞にGETを用いることがポイントです。たったの2つの意味を覚えるだけ使いこなせるようになります。今日はgetの使い方に精通してください。

 

Getは英語の万能薬

 

「getは万能だ」と言うと、「それは無茶だ。動詞はいっぱいある。getひとつで済むわけがない」と反論が出るでしょう。もちろんその通りですが、getを使うと、後の英語がスムーズに出てくるようになるところがミソです。

 

「I(私)で話し始めると、洗練された英語になる」で申し上げたように、人(IやYou)を主語にすると、後に続く英文が楽に口から出てきます。同様に、楽な言い回しをしたいなら動詞は「get」を使うべきです。

 

「英米人は日本人より本音を言わない」で書いたように、形容詞はgoodさえ知っていれば、当面は十分です。これと同様に、動詞にも中核を成す単語があります。それがgetです。

ある調査によれば、英文において最も頻出度が高い動詞はbe動詞。

第2位が do、第3位が get、 第4が have となっています。

そのあとにgo、 like、 think と続きます。

 

第2位のdoは疑問文で登場しますし、第4位のhaveは現在完了や仮定法に出てきます。これらは文法上使わざるを得ないものです。getにはこうした用法がないにもかかわらず、押しも押されもしない堂々3位なのです。

 

「頻度が多いということは『いろいろな局面で使うということだ』。だから意味がたくさんあって難しいのではないか」と考えるかたが居るでしょう。ぼくは、真実はこの逆だと思います。「頻度が多いほどその単語の持つ意味が薄くなる」のです。

 

 ぼくは米(ご飯)は毎食でも口にすることができますが、好物のうなぎはいくら好きでも毎日は食べることはできません。米は味がほとんどないから毎日食べても平気なのです。同じように、ある単語が何回も出てくるということは、その言葉に意味がないからです

 

その典型がbe動詞です。beにはさしたる意味はありません。

吾輩は猫である

 I am a cat.

このamは、   吾輩=猫  2語を結びつけるだけの、数学の等号(=)のようなものです。

 

getも、これと似た意味の薄い単語です。おおまかに言えば、getはあるときはhave動詞とほぼ同じ意味になり、あるときはbe動詞と似た意味になります。

haveとbeは東西横綱とも言える代表的な動詞ですから、それら2つと同様の働きをするとなれば、getは横綱を超えた存在だと言えます。

 

Getの本質は「くっつく」です。

 

 「getを覚えるだけでそのあとの英語がスムーズに出てくるってどういうこと?」と思うでしょう。それについてお話するには、まずgetの第1の意味をつかんでください。haveと同じ意味になる場合です。2つの意味のうち、こちらがより本質的で重要です。

 

 主語+get+目的語(名詞)

という文があると、目的語が主語にくっつく感じです。

 

「本を買う(もらう)」と「犬を飼う」では日本語では全く違う動詞を使いますが、主語に対して目的語(この場合は本や犬)がくっつくイメージは同じです。離婚は相手が離れていくことですが、離婚という事実が自分にくっつく(バツイチの勲章がくっつく)のです。病気も自分にくっつきます。

 

 

1 get a book  本を買う(もらう)

2 get a dog   犬を飼う

3 get a taxi   タクシーを捕まえる

4 get my wish  願いがかなう

5 get a divorce  離婚する

6 get a date   デートする

7 get cancer   癌になる

8 get approval  許可される

9 get a shot   注射をする

10 get an appetite 食欲が出る

 

このgetには魔法のような力があります。どうしてかというと、他の動詞を使わないですむからです。それを理解するために、getを使わないで、いくつかの表現を言ってみましょう。

 

buy a book  本を買う

suffer from cancer  癌を患う

catch a taxi  タクシーを捕まえる

 

となります。このように、通常は特定の動詞と特定の名詞が結びつきます。鍵と鍵穴を合わせるように、動詞と名詞を一つひとつ合わせていたら面倒です。これに対して、getはマスターキーのようなものです。getひとつでかなり間に合います。

イメージだけをいうなら、get+名詞は日本語の「名詞+やる」に近いかもしれません。例えば、「仕事をやった(片付けた)」とか「風邪をやった(かかった)」と言っても、相手に意図は伝わります。日本語の「やる」ほどではありませんが、英語のgetもやや上品さを欠いた表現になる場合があります。このためgetは会話では使っても、書き言葉では使わないのが普通です。

 

getが万能だというのは、getを使えば「だいたい」の意味が通じるということです。「だいたい」といのとは不正確になってしまう場合も含みます。

 

 

I’ve  got~の形で使えるようにする

 

getは現在完了形で使われることが多いので、それも併せて覚えておきましょう。これはgetの本質にかかわることなので、現在完了についてここで説明します。

 

 学校では現在完了は「過去より新しいが、現在よりは少し古い」と習いました。ぼくはこの説明が全く分かりませんでした。現在から1秒前でも、もうそれは過去になっているので、過去形にするべきだと思えたからです。

 

 英語がしゃべれるようになって分かったのは、現在完了の本質が「継続性」にあることでした。

 「ぼくは彼に賛成した/する。」という文を英語にする場合、

 (1)「あのときは賛成だった。でも、今はもう反対だ。気が変った」と言うならば、継続性がないので過去形になります。

 (2)「今もなお賛成だ」というなら、今も気持ちは継続していますから、現在完了になります。

 (3)あのときも賛成だったけど、そのこととは別に、今の自分の賛成の気持ちを強く表わしたいなら、現在形になります。

 

会話中にこんなことを考えて、過去形、現在完了形、現在形を選ぶのは容易ではありません。だとしたら、現在完了は忘れた方がいいとぼくは思います。疑問文については優先順位が低いので、「疑問文は使わなくていい」と申し上げました。現在完了形も同様です。現在形と過去形だけで済ませましょう。

 

ただし、ここでは例外が一つだけあります。それがhave gotです。

 ぼくがこれまで聞いてきた英語は圧倒的にhave gotの形が多かったです。現在形のgetはあまりお目にかかりません。

 

 読者のみなさんには、have gotを使うことをお薦めします。これだけの差で英語がうまく聞えます。極端に言えば、第1の意味で使うgetはいつもhaveを伴うと考えていただいてかまいません。Getの例はすべてHave gotの形に書き換えらえると考えていただいてけっこうです。例えば、最初の例なら

 I’ve  got a book. 本は買ったよ(手元にあるよ。)  といった調子です。

 

 このhave gotは米語でよく出てくる表現で、しかも最近になって使用頻度が高まっているようです。

 

Getの第2の意味は「~するようになる」

 

 Getが持つ2つ目の意味は、さらっとだけ見ておきます。意味は「~するようになる」というものです。冒頭で、be動詞と似た意味になる、と指摘した用法です。

 

get+形容詞

となっています。形容詞と書きましたが、過去分詞も入ります。

 

 

GET+形容詞で「~するようになる」

1 get hungry  おなかがすく

2 get popular  人気が出る

3 get better  よくなる

4 get suntanned  日焼けをする

5 get dressed  服を着る

6 get married  結婚する

7 get angry  怒る

8 get lonely  寂しくなる

9 get pregnant 妊娠する

10 get lost  道に迷う

 

このgetはisと交換してもあまり意味が変りません。例えば、

 He got married. 結婚した

 He is married.  結婚している

  isが「~である」という意味であるのに対して、getは「~するようになる」ですから、当然意味が違います。しかし、だいたい同じような意味に取れます.

 

また、getには、その後にいろいろな前置詞がつく決まり文句があります。

 get up 起きる

 get on (電車に)乗る  といった具合です。

 

 これらも

 I get up at 7. 7時に起床する

 I am up at 7. 7時には起きている

 

I get on a train. 電車に乗る

I am on a train. 電車の中にいる

 という具合にbe動詞に入れ替えることが可能です。

 

英字新聞や英会話テキストを読んだり、英語ニュースを聞いたりすると、すぐにgetに遭遇します。このコラムを読んだみなさんは、そんな時にはいつも以上にgetに注目してみてください。このgetは1番目の意味「目的語が主語にくっつく」だったか、2番目の意味「~するようになる」か考えてみてください。実例を目にすると理解度が高まります。速く自分のものにすることができます。

 

 

 

 

謎のアップル iWatch 成功なるか!

米アップルが7月に、日本を含む複数の国・地域で「iWatch」という名称で
商標登録を出願していることが明らかになりました。

その名前から、腕時計型の、身につけて使用する超小型端末
(ウエアラブルコンピューター)を開発し、市場投入を考えていることが推測できます。

同社は発売前の製品に関して一切コメントを出しません。
そのため詳細は現時点で不明ですが、出願済みの特許などから、
その姿はうっすらと見えてきます。

新端末が成功するかは、iPhoneなどで実践してきた
「必勝パターン」にもちこめるかにかかっています。


ウエアラブル端末向けの要素技術は熟成してきています。

例えば携帯機器向けCPUや無線トランシーバーIC、
通信制御LSIなどは、処理性能を高めた上で実装面積を小型化し、
さらに消費電力も抑制しています。

電池は、大容量で継ぎ足し充電による劣化が少ないリチウムイオン電池が
主流となっています。

ディスプレーは、面積は同じでも表示できる情報量を増やすよう解像度が
上がっているほか、基板や表面のカバー層にプラスチックを採用することで、
くねくねと自在に曲げられる「フレキシブルディスプレー」も実用化しつつあります。


米グーグルは13年4月に、眼鏡型端末「グーグルグラス」の試作版を
開発者向けに発売しており、一般向けにも2014年に提供を始めます。

ソニーモバイルコミュニケーションズも、同社製スマホ専用のオプション製品という
位置付けながらも、メールやツイッター、フェイスブックの閲覧機能、
音楽再生機能などを備えた多機能腕時計を製品化しています。


アップルが、「iWatch」でこの分野に参入とすると、
気になるのはどんな製品を企画し、どんな普及シナリオを描いているのかですね。


携帯音楽プレーヤー「iPod」からスマホ「iPhone」、
タブレット(多機能携帯端末)「iPad」に至るまで、
アップルは共通の戦術を用いて新たなハードウエアやプラットフォームの浸透を
実現させている。いわば「必勝パターン」を持っているわけです。


一般消費者に対する必勝パターンは、

(1)外観や画面のデザインを徹底的に磨き上げ「格好良い」と思わせ所有欲を刺激する

(2)価格やバッテリー駆動時間、使い勝手などで欠点をつくらず、
消費者が購入後に不満を感じないよう実用性を確保する

(3)広告などを通じて新たな使い方を提案するとともに、
将来に向けてさらに使い方が広がると消費者が期待する機器の可能性をアピールする

――という3点です。


一方、アプリ開発者やコンテンツホルダーに対しては、

(4)多くの消費者が購入する見込みを示し、アップル主導のエコシステムに
参加することで大きな収益と知名度向上などを見込めると思わせる

(5)対応アプリの開発がさほど難しくなく、対応が容易であるとアピールする

(6)アップル製品というプラットフォームに各社が開発するアプリなどを
組み合わせることで、多様な用途に活用できるという潜在力や汎用性を訴求する

――といった点が挙げられます。


絶好調に見えるアップルとて、エコシステムは必ずしも盤石ではなく、
手数料の高さや審査の厳格さ、ときどき発生する突然の運用変更など不便な面もあります。

それでもアップルが有利なのは、ハードウエアで他社に圧倒的な差を見せつけ、
他社の追随を許さない、または追いつくのに長期間かかるという、
いわば「先行逃げ切り」の競争環境に持ち込んでいるからです。


では今回はどうか。

 アップルが米国で特許出願した書類を基に『日経デザイン』誌が予測した記事によると
iWatchは

(1)曲げられるフレキシブルディスプレーを採用する

(2)CPUや電池などの集積部がディスプレーに隠れるようにして、
外観上は一周ぐるりとディスプレーになる

(3)ディスプレーを本体の表面だけでなく裏面にも回り込ませることで、
外観上はディスプレーの左右の縁がないように見せる

(4)腕に巻き付けた状態だけでなく、ぴんと伸ばして板状でも使えるよう
双安定バネを採用する

(5)待ち受け時に表示する色やデザインをカスタマイズするアプリを提供する

――といった特徴を持つものを研究しているようです。


仮にこのアイデアが現実のものとなれば、
外観の全面がディスプレーという構造は差異化の大きなポイントになるでしょう。

待ち受け状態のデザインを自在にカスタマイズできるほか、
限られた本体サイズでも、表示可能な情報量を増やせます。

また細長い画面とすることで、電光掲示板のように文字を流して表示するアプリを
開発しやすくなります。

潜在力の大きさや汎用性の高さという点で開発者に強烈にアピールできそうです。


アプリ開発の難易度については、視認可能なディスプレーの横幅が装着する人により
変わるという点で難しさがあるかもしれない。

また、例えばメールや交流サイト(SNS)のアプリなどでは、
iWatchの小さな画面で長文の文字入力をタッチ操作で行うのは難しいとみられ、
音声入力などでどの程度の実用性を確保できるかが課題となりそうです。

米アップルの株主総会で、CEOのティム・クック氏は
「新たなカテゴリーの商品を計画している」と語っています。
これらの点を除けば、表示デバイスは単なる長方形の細長いディスプレーとも
いえます。
巻き付けた状態でディスプレーをどう活用するかというアイデアさえ浮かべば、
開発はさほど困難ではないでしょう。

残る課題は、iWatchがどの程度売れて、
アプリ開発者にとって対応アプリの開発がどの程度収益性に結びつくかという点です。

そのためには、上述のような特徴を備えた製品をどの程度のコストで量産でき、
どの程度の小売価格を設定して、どの程度コンスタントに出荷できるか、
がポイントになるでしょう。


価格の予測ですが、
米国でブームとなったブレスレット型の活動量計は、おおむね100~150ドル程度。
iWatchは、デザインの革新性と汎用性の高さを考えれば、
これらの製品よりある程度高くても消費者の支持を得られるでしょう。

 一方、iPod touchの米国での小売価格は229~399ドル。
これを大幅に上回る価格帯になると、購入を検討する消費者が少なくなる恐れがあります。


記者は、iWatchの小売価格は300~500ドルといった水準になると予測しています。
急速に市場を席巻し競合他社に差をつけることを重視するなら300ドルに近い水準、
完成度の高さやハードウエア販売による着実な収益を重視するなら
500ドルに近い水準をそれぞれ狙うとみているそうです。


米国をはじめとする先進国市場において、iPhoneの先行者利益が薄らぎつつあり、
アップルは韓国サムスン電子などアンドロイド陣営の猛追を許しています。
欧州市場でもiPhone5の販売不振が明らかになるなど、
右肩上がりだった業績が曲がり角に差し掛かっています。
それだけに、未開拓の新市場であるウエアラブル端末でアップルがどう足掛かりを築くかに高い関心が集まっているのです。

iWatchが好調なスタートダッシュを切れば、iPodやiPhone、
iPadのときと同様、アップルは莫大な先行者利益を手にすることになるでしょう。

とはいえ、消費者もアップル製品に対して目が肥えつつあります。
製品化の時期が市場の期待より何年も遅れたり、
前評判を裏切るような中途半端な製品を出したりすれば、
今後の業績にも影を落としかねません。

iPhoneやiPadに慣れきった消費者をうならせるデザインや使い勝手を実現し、
過去の必勝パターンをiWatchで再現するには、
アップルが越えるべきハードルは高いでしょう。

【林則行氏のコラムより】英語、本音の上達法!Vol.12

英米人は日本人より本音を言わない

 

今日のポイント

・英米人は日本人に比べ本音を言わない。良いことしか言わない傾向がある。

・形容詞はgoodだけ知っていれば当面は十分だ。これだけでいろいろな意味を表現できる。goodを駆使して英米人のように誉め上手になろう。

 

英米人は誉め言葉の中に微妙に本音をにじませて伝えます。この方法を体得することは彼らと対等にやり合うのに不可欠です。しかし、最初はなかなかできません。第1ステップとして、英米人流の誉め方を学びましょう。これはgoodさえ使えれば、誰でもすぐにできるようになります。

 

 日本人は本音を言わない、英米人は単刀直入に話す、と言われています。この指摘は外国人がしたものです。日本人がこう思うはずはありません。こちらは外国人が話すちんぷんかんぷんな英語を聞かされるわけですから、「ああ、外人って単刀直入だなあ」と思うことはないからです。

 

この「日本人は本音を言わない、英米人は単刀直入に話す」という指摘は正しいでしょうか。われわれは検証することもなく、この指摘を真に受けていないでしょうか。ぼくの経験では真実はこの逆です。日本人は本音をよく言います。

 

例えば、顔馴染みの寿司屋に入って、「久しぶり。元気でした?」と聞くと、店主は「元気。元気。元気でしたよ」。と必ず言います。寿司屋は威勢がよくないと務まりません。これは営業文句であり、もちろん本音ではありません。

 ところが、カウンターに座って少し話すと、店主は「実は、先月入院するはめになってさ」。と本音を話し始めます。店には常連とは言えない他の客も居るので、この本音は公開情報になってしまうわけです。

 これに対して、英米人はかなり親しい間でも自分の胸の内を打ち明けることがないようです。

 

 私がかつて勤めていた会社のアメリカ人同僚から、「転職したいのだけど、ヘッドハンターを紹介してくれないか」と尋ねられたことがありました。米国で働いていたときのことです。ぼくは自分の知っているヘッドハンターを紹介する前に、 「このヘッドハンターは日本人や日本企業向けが強いんだ。君はアメリカ人だから役に立つかなあ?」

と言いました。すると、同僚は、「ノリ(ぼくのこと)は信頼できるからこういう話をするけど、誰にでもできる話じゃないから」と言ったのです。

つまり、他のアメリカ人同僚には話しにくいということでした。転職話を打ち明けてきたアメリカ人同僚とぼくはそれほど親しいという間柄ではありませんでした。彼は日本人同士が親密につきあっているようすを感じとっていて、日本人のぼくになら秘密を打ち明け、相談できるのではと考えたのだと思います。

 

事実、海外に住む日本人は「お互いに助け合おう」という気持ちが底流にあって、誰とでもすぐに打ち解ける傾向があります。また、海外旅行をする日本人は詐欺のカモになりやすいと言われるのも、相手を信頼しやすいからです。腹の探り合いをするのは日本人よりも欧米人の方です。

 

 会社で働いている人ならば、上司が部下を呼んで仕事の評価をする機会が年に1~2回あります。そんなとき英米人の上司は良いことしか言いません。「がんばってるね。私だけでなく周りのみなが評価しているよ」といった具合です。

 ただ、途中でちょっとだけ本音を出します。営業成績が低迷している人には、「今年の営業成績だけど、もう少しいけたはずだよね」と軽く言います。そして、その後にすぐ、「これがあなたの本来の力でないことは知っている。景気が悪かったのが最大の要因だよ」とフォローを忘れません。

 

このように言われたらアメリカ人の部下は「上司からまずまずの評価を受けた」とは受け止めません。本音を見せない風土に慣れている人たちは「相当厳しいことを言われた」と思うはずです。

 

同じように、職場に問題児が居た場合、日本ならば「あいつには困っちゃうよ」とあからさまに言うことがあるでしょう。欧米ではあり得ません。微妙な言い回しでその人への不満を伝えるのです。顧客とのトラブルが絶えない社員については、そのことに触れないで、「彼に資料づくりを任せたら天下一品なんだ。顧客係じゃもったいないよ」といった具合です。つまり、顧客係としては、だめだという意味です。

遅刻常習犯の部下には、「朝寝坊は君の欠点だね」と言う代わりに、「早起きは君の最高の強みではないよね」と言います。

 

言葉の観点からこれらの話を考えると、出てくる単語はすべて褒め言葉です。「素晴らしい」「うまい」「秀逸だ」「努力家」「まずまずの出来」「健闘している」といった具合です。この中から微妙な差を感じとって相手の本音を測るのが英米文化です。

 

この差はかなり敏感なセンサーを持ち合わせていないと分からないでしょう。読者のみなさんにも最終的にはこのテクニックを身につけていただきたいと思います。ただし、そのためには基礎から学ぶ必要があります。まずは世界標準の英語を覗いてみましょう。

 

世界標準の英語は微妙さのない白と黒の世界。中間的なくすんだ色合いのない世界です。

テレビドラマの世界では必ずいい者と悪者が居るように、何かを形容する言葉は大きく分けると、goodとbadに分けられます。綺麗だ、速い、安い、誠実だ、おいしい、などはどれもgoodの仲間であり、その反対がbadの仲間になります。

 

 世界標準の英語は、ほとんどこのgoodとbadで済ませています。

 

ぼくはアラビアに住んでいたとき、アラビア料理をよく食べに出かけました。あるとき、自分がいつも食べている料理の味が少し違いました。そこで、給仕をしているなじみのレバノン人に、

 「いつもと味が違いますね。」  と英語で言いました。

すると、 「違うとはどう違うんだ?」  と聞くのです。

今日はシェフが休暇中で、代わりの人がつくっているとのことです。

 彼は加えて、

 “Good or bad?”   と言いました。つまり、いつもよりうまいのか、いつもよりまずいのかをどうしても聞きたいのです。

日本人の読者のみなさんなら、ぼくの言いたいことはもう分かっているでしょう。いつもより良いなら、「今日はいつもより良いよ」と言い切っているはずです。つまり、ぼくはいつもより劣ると言いたかったわけです。

 

「違う」と言っただけでは、そのニュアンスは伝わらなかったようです。しかし、いくらなんでもレストランに来て、「まずい。(bad)」と言うのはためらわれました。あまりに失礼な発言だからです。

それでも、給仕の人はぼくの答えを待っています。

「仕方がないや。正直に言っちゃえ。」と思って、

 “Bad.”

 と言いました。すると、彼は「分かった」と安心したように、ぼくのテーブルを離れたのです。「まずいとは何だ」といった気色ばんだ様子は微塵もありませんでした。goodとbadしかない世界の人から考えれば、ぼくの発言は「まずい!」には聞こえなかったのかもしれません。

 

not very good の本当の意味は「かなり悪い」

 

世界標準の英語は確かに、goodとbadの二元論になっています。しかし、みなさんにはbadは薦めません。もう少し上品な英語を話しましょう。みなさんにお薦めする英語表現は

very good

good

not very good

の3種類です。面と向かってbadを使う機会はあまりないと言っていいでしょう。

 

 

ここでnot very good について解説しておきます。これは学校では「very good ではない」ということであり、「すごく良いというほどではない」くらいに教わります。原義はその通りですが、実際に使われる場合は「かなり悪い」です。

 

“How are you?” 「元気にやってる?」 に対してほとんどの場合は

 Very good.

 Good.

 Fine.

 などと答えます。松葉づえをついて、見るからに辛そうに歩いてきた友人でも

 “fine (またはgood ).”   と言うでしょう。

 

つまり、not very good とはなかなか言わないということです。もし、誰かがnot very goodと言った場合は、その後に「会社は首になるし、彼女には振られるし、財布は落とすしさ」といった理由がつきます。この3つのうち、1つくらいしか当てはまらないなら、not very good とは言わないでしょう。

 

ちなみに、この発言には英米人の自虐的なユーモアが含まれています。こんなにひどい状況なんだけど、not very good (すごく良いとは言えない) と言っている自分がおかしいのです。これを聞いている相手の人は発言者のユーモアを感じますが、同時に「相当ひどい状態だ」とも感じるわけです。

 

こう見てくると、われわれが会話で使う形容詞は

 very good

good

くらいに絞られます。not very good は「かなり悪い」ですから、その代わりに「まずまず」(英語ではOK)くらいは使うかもしれません。

 goodをうまく使うだけで、幅広い意味を表わすことができます。

 

例を挙げます。以下の例文でgoodに力を入れて言えば、本気で「良い」という気持ちを言っていることになり、淡々と言えば「まずまず」の意味になります。

 

 

英語が達人級だ。

His English is very very good.

 

調子がいい。

I feel good.

 

サービスは及第点だ。

The airline’s services are good.

 

相手として申し分ない。

He is a good match for me.

 

話し上手だ。

She is a good talker.

 

これは幸先がいい。

This is a good sign.

 

(やめるのに)キリがいい。

 This is a good place to stop.

 

得意客だ。

He is a good customer.

 

勝算がある。

 We have a good chance of winning.

 

政治家はしっかりしろよ。

Politicians are not very good.

(しっかりしろ⇒なぜか⇒政治家はかなり悪いから、という解釈です。)

 

good以外の形容詞が使える人はもちろん使っていただいてかまいません。大事なことは、goodだけでも相当のことが言えるということです。

good を使いこなせば英米人のように誉め上手になれる

 

 「very good」や「good」などを使い分けながら、英米人の微妙な本音の伝え方に慣れていってください。だんだんと感じとれるようになります。外国人の中に混じって働こうと思っているかたには必須のテクニックです。

 

英米人は本音を隠す陰険な人たちだ、と思う方が出てくるでしょう。けれど、正反対の長所があることも事実です。ある人の性格を「騒がしい」と評価するとマイナスのイメージですが、「ほがらか」と評価すればプラスのイメージになるようなものです。

 

 英米人は誉め上手です。ちょっとしたことを言っただけでも、That’s a good idea.(それは名案だ)と言ってくれます。人事評価で良いことを並べてもらえるのは、うれしい側面です。誉めることで相手の力を引き出すことができるのだったら、それは素晴らしいことではないでしょうか。

 

 そのためには、まずgoodがうまく使えるように慣れてください。同じ「good」という表現を使っても、場面に応じて少しずつニュアンスを変えることができます。ここをスタートにすれば、自分の微妙な本音をだんだんと伝えられるようになっていきます。

 

【林則行氏のコラムより】英語、本音の上達法!Vol.11

和英辞典は最良のお助けツール

 

今日のポイント

・実践型ひらめき法:  家の中や街を歩きながら、また電車の車内であたりを見回しながらあれこれ英語で考えてみる。

適切な言い回しが分からないときは積極的に和英辞典を引く。

 

 

今日は和英辞典を活用した「ひらめき」法の実践版を紹介します。これが身につけば、留学を乗り切れるほどの力が付きます。この方法は、英語の成績が最下位で留学したぼくが、そこそこの力をつける原動力になりました。

 

ぼくが大学院に留学した際、一緒に入った日本人15人の中で最も英語が不得意でした。ぼくだけが、かなりたどたどしかったのです。「日本人で最低ということは、ぼくの英語力はコロンビア大学MBAコースで最低ということだろう」と思いました。

 

しかし、そう思っているのと、それが事実だと目の前に突きつけられるのとでは、ショックの度合いが違います。ぼくはこれまで学校でビリだったことはなかったからです。

 

入学後仲良くなった大学院事務局の人が、ぼくを含めた留学生数人の学生の前でこう言ったのです。

 

「うちの学校は度量が大きいんだ。将来性があると思ったら、英語が少しくらい下手でも入学させちゃう。今年のTOEFL英語の最低点は○○点だった」

 

その点数は大学が公表している必要最低限の点数よりかなり低かったので、同席した留学生たちは驚いているようでした。でも、いちばん驚いたのはぼくでした。まさにぼくの点数だったからです。

 

ぼくが前途ある若者と見られたのには訳があります。ぼくは英語の点数が低いので、普通なら入学は無理でした。だから、願書に書く志望動機や自己アピールの内容で人に差を付けるしかありません。

 

ウオール街まで至近距離にあるコロンビア大MBAは投資の実践的な教育が売りでした。そこで「ぼくを入学させれば、米国人にはなかなか分からない日本株の極意を同級生たちに教えてあげよう」と大言壮語を書きました。当時は日本株全盛の時代で、世界の注目が集まっていました。

 

翻訳業者に依頼して立派な訳文を送ったら、合格したのです。他校にも出願しましたが、当然すべて不合格でした。

 

そのぼくが卒業時点では日本人留学生の中で上位の英語力になっていました。どこで追い上げたのでしょうか。

 

同じ教材を勉強したのですから、その点では大きな差はなかったと思います。ぼくだけがアメリカ人と積極的に付き合って英語を磨いたということもありませんでした。ぼくは会話が通じないので、どちらかというと、付き合いを避けていた方でした。「せっかく外国に住んだのだから、こういうことではいけない」と思いながらも、アメリカ人から「あいつは話が分かっていない」と見破られるのが怖かったのです。

 

 違いといえば、日本にいたころから続けていた「ひらめき」英語法(「最速の上達を約束する『ひらめき』英語法」を参照)でした。ぼくはその方法を進化させていました。それが今日ご紹介する実践型です。

 

実践型の第1ステップ:ひらめきの幅を広げる

実践型ひらめき法には2つのステップがあります。

 

ひらめき法の基本型は「ぼーとした時間に自分の心に浮かんだことを口にする」ものでした。

実践型の第1ステップでは、家の中や街を歩きながら、また電車の車内で辺りを見回しながらあれこれ考えてみます。

 

 例えば、電車の中には週刊誌の中吊り広告が下がっています。

  そこには、

 特集「あの人は今」:往年のスター○○○○が心情を激白

  などといった文言があります。

 

この時、往年のスターの写真を見て、「懐かしいなあ」と思ったとしましょう。この気持ちを英語にするのです。ぼーっとしているとき、自分の世界にこもっているときには、「懐かしい」という気持ちはあまり起きないでしょう。周りを見回したときのほうが話題や感情の幅が広がります。つまり、この実践型第1ステップは周囲に目を向け、視野を広げることで、単語や表現を広げるのが狙いです。

 

ただし、中吊り広告そのものを英訳するのではありません。それは日本語の英訳であり、日本語脳を使うことになってしまうからです。上記の「激白」はなかなか英訳ができないでしょう。

 

 また、「あの人は今」は「あんなに一世を風靡した人は今どうしているか」の意味ですが、それを逐語訳してしまっては味がありません。一般に広告は人目を引くためにつくられていますから、訳出は特に難しいと思ってください。

 

 「懐かしい」という気持ちをどう英語で表わしたらいいでしょうか。いちばん先に頭に浮かぶのは「ノスタルジア」ですが、一般的に言ってカタカナ外来語をそのまま英語にすると失敗します。アルバイトやコンセントが英語ではないように、使用前に注意が必要です。ノスタルジアは英語ですが、ちょっと重すぎます。亡くなって久しい父母を想うような場合です。

 

「懐かしい」という言葉にとらわれてはいけません。感情を英語にするのです。

  懐かしい⇒なぜ⇒最近見かけていないから、ということですから、

 I have not seen her for a long time.   でかまいません。

 

第2ステップ: 和英辞典を活用する

第1ステップがある程度できるようになったら、第2ステップに移ります。

 

第2ステップは英和辞典を積極的に活用する段階です。第1ステップを続けていると、どうしても英語が出てこない場面に出会います。「『懐かしい』って、どう言ったらいいんだろう。どうしても、分からない」と思ったら、かまわず辞書を見てください。

 

「和英を使うということは日本語を見ることだ。たった今、『中吊り広告そのものの英訳は日本語脳を使うからだめだ』って言ったばっかりじゃないか」と思われるでしょう。

その通りです。より大事なのは英語で考える第1ステップです。第1ステップでは自分の知っている単語の中で何とか英語にしています。しかし、それだけでは限界が来ます。英語の語彙が少ないからです。

 

 ぼくの経験では、「これは英語でどう言うんだろう?」と思ったときは疑問のままにしておかない方がいいようです。和英辞典を引いてしまうと日本語脳を使うことになるのは確かですが、こういう疑問が起きた時点で日本語脳はもう動いてしまっています。だとしたら、「知りたい気持ち」があるときが学び時です。

 

 「懐かしい」を早速引いてみましょう。上記の言い方以外にmiss(会えないで寂しい)を用いる言い方があるのが分かります。

 例えば、

 「故郷の街が懐かしいなあ。帰りたいなあ」     といった場合です。

  この場合は

 I miss my hometown.

  となります。往年のスターの写真を見かけた際に、このmiss を用いるなら、過去形(または現在完了)になります。すでに、スターの写真を既に見たので、寂しい気持ちは今では落ち着いたことになるからです。

 

 こうやって、和英辞書を引くことで表現を覚えることができます。

 

英単語教本はつまらないからやらない

 

これに対して、記憶に残りにくいのは単語帳や英単語教本で英単語を集中的に暗記することです。

 

例えば、英単語教本では英単語が

 投資 investment

 資産 assets

 負債 liabilities    のように並んでいます。

 

 それぞれを見るのに1秒もあれば十分ですが、1秒後には次の単語に目が移っています。速く進みすぎて頭に残らないのです。やってみれば分かるのですが、どんどんページが進む割にむなしさが残ります。さらに甲斐のないことに、「この単語を今覚えなければならない理由がない」のです。

 

 「どう言うんだろう?」と思って引いた単語は頭に残りますが、今、特に興味のないテーマの単語は記憶に留まりません。ぼくは仕事柄、経済ニュースは聞き逃しませんが、殺人事件になると聞いても頭に残りません。興味があるかないかによって記憶の定着度が大きく違うのです。

 

 英単語教本が覚えにくい真の理由は「単語のスペルには意味がない」からです。

 dog=犬

ですが、どうしてこのDとOとGの3つのアルファベットがつながると、ワンワンと吠えるしっぽのある動物を指すのか、意味が特にあるわけではありません。

スペルを逆にすると、godとなり神の意味ですが、犬と神は近いから同じ3文字が用いられているということでもありません。ぼくには英語のスペルは記号のように見えます。電話番号を片っ端から暗記するのとそれほど違いがない気がします。

 

 英単語教本をめくっていると、つまらないので英語が嫌いになってしまいます。嫌いにならずに語彙数を増やすには、「これは英語でどう言うんだろう」と思った時点でその都度辞書を引くことです。

 

外出先で辞書を引くなら、携帯電話や電子辞書、ネット辞書が便利です。電子辞書は和英辞書で見つけた英単語をクリックすると即座に英和辞書にジャンプする機能があります。今度はmissを英和辞典で調べてみると、「会えないのが寂しい」以外に「機会を逸する」という意味がみつかります。

 Don’t miss the boat.

  という慣用表現が出ています。日本語では「バスに乗り遅れるな」と言いますが、英語では「ボートに乗り遅れるな」と言うことが分かります。

 

 インターネットで調べたいことを検索しているうちに、関連事情をあれこれ調べてしまうことがあるでしょう。同じように、いったん辞書を引き始めたら、あれもこれも見たくなることがあります。これは単語を覚える良い機会です。

 

 ネット上では無料で利用できる辞書がたくさんあります。その中で用例が多くて参考になるのはアルク社の英辞郎です。アルク社のホームページからアクセスできます。普通の辞書は「懐かしい」」はあっても「懐かしの」までは用語登録されていません。英辞郎は「懐かしの」でも引くことができます。

 収録されている用例が多いのは良いことなのですが、初心者のかたは「これって、全部覚えなくてはならないんだろうか?」という気持ちになるかもしれません。もちろんそんな必要はありません。

 この第1および第2ステップの時間を長く取れば取るほど英語の上達が速くなります。

 

 ぼくは留学の最初の半年は、日本語の本は読まない、メモは英語で取るなどと徹底するようにしました。大学の図書館に日本語新聞が置いてあるのを初めて発見したときには漢字、ひらがなが目に染み入るように入って来たのを覚えています。枯れた土地に水をまくと、待ってましたとばかりに土が水を吸い込んでいく。そんな表現がぴったり当てはまるような感覚でした。

 

 「留学したらそこまで徹底できるかもしれないけど、日本に居たらそれは無理だよ」とおっしゃるかもしれません。ぼくが言いたいのは、留学時代に英語が上達したのは、大学や米国という環境のせいではなくて、この「実践型ひらめき法」が主な理由だったということです。MBAに留学しても一度もアメリカ人と話さないで卒業したという事例もあるくらいです。「留学=英語ペラペラ」という図式は成り立ちません。

 見たものや聞いたものをすべて英語にしていたら、忙しくてかないません。気が向いたときだけ「ひらめき」法を行い、疑問に思ったときだけ和英辞典を開けばいいのです。ぼくは今でもこの第2ステップを続けています。ぼくは日本語のテレビや新聞、雑誌を見るときは、頭のどこかでいつも「知らない単語や表現はなかったかな?」というセンサーを働かせています。知らない単語に出くわすとすぐに和英辞典で引くことにしています。だから、辞書はテレビの横にいつも置いてあります。

 自分が興味を持てる話題や内容を中心に、言いたいことを英語にしてみてください。皆さんも努力次第で、銅メダルの上位にまで到達することができます。

 

束縛もなんのその!美を追求するイラン女性の戦い

サッカーのイラン代表が2014年のブラジルワールドカップ進出を決めたことで、
首都テヘランの至る所で大勢の男女があふれました。

しかし、政府は6月19日にテヘランのアザディースタジアムで開催された、
サッカー選手の歓迎式典への女性の参加を禁じたのです。
先日まで男女共々大通りで騒ぐことを黙認してきた政府でしたが、
結局、男女を分けたがる姿勢に逆戻りしました。

「そうか。この国はまだ何も変わってないんだ!」と、誰もが思いました。

イランがまだ変化していないことを示す証拠の1つは、
男性サッカーを開催するスタジアム内への女性の立ち入り禁止。

しかしもっと重要なのは、いまだに女性は自分の好きな衣装を着られないということです。

イランの女性は衣装を自由に選べないと聞くと、最初に浮かぶイメージは何ですか。
おそらく全身を黒い布で包み隠し、目しか見えない女性の姿でしょう。

アラブ諸国であるサウジアラビアやアラブ首長国連邦などとイランのイメージは、
メディアによって同一視されていますが、
実は同じイスラム系国家であっても、各国の女性の衣装に対する考え方は大きく違います。


まずは、イスラム教を主としている国といえば、どんな国があるでしょうか。

イラン、トルコ、サウジアラビア、インドネシア、アフガニスタン、エジプトなどが
ありますが、それらの国の女性の服装を見ると違いがよく分かると思います。

同じイスラム主義国であっても、なぜ基準が異なるのでしょうか。
衣装を国が決めるようになったきっかけは何でしょうか。

まず、イスラムの定型的な象徴である「ヒジャブ」の定義から見ていきましょう。
モスリムにとって、それほどまでに大切にされる「ヒジャブ」とは何でしょうか。

「ヒジャブ」は、イスラム教の聖書であるコーランによって決められている
女装であると言われています。
少なくともコーランの3箇所で、イスラム信者の男性がサタンの誘惑に陥らないために、
女装をしており、それが女性の服装として定められたようです。
女性は顔と手首以外を除いて、自分の見える魅力を隠すべきであると指摘されています。

女性の魅力である髪や首筋、腕を見ることのできる男性も、
コーランによって決められています。

父、夫、義父、兄弟、息子、継子、兄弟の息子の前であれば、
髪の毛などを隠さなくてもよいと決まっています。

つまり、イスラム教では、魅力を隠せば外出することを認めているといえます。
もちろん現実は全く異なります。

多くのアラブ国では女性にはまだ投票権がありませんし、
サウジアラビアでは女性は運転免許を取得できないだけでなく、
男性が一緒でなければ外出さえ認められません。

しかし、ヨーロッパの国々と接触する機会が増えるに従い、
ヒジャブの着用を嫌がるインテリ階級も増加しました。
女性組織などの結成をきっかけに、女性の権利を求める運動も始まりました。


イランの女性も抵抗をしていきました。

その努力が実り、イスラム聖職者の反対にもかかわらず、
62年に投票権を獲得しました。

女性が獲得した次なる成果は、一夫多妻を制限する規則でした。
新しい規律によって、男性は2番目の奥さんをもらうためには、
妻の許可が必要となりました

79年の革命以前は、イランの女性はある程度の自由を得ていたこともあり、
当時のファッションは世界のトレンドとほぼ同じ方向に進んでいました。

音楽や映画で活躍する女性もいれば、美人コンテストに参加する女性もいました。
この時期、多くの女性が教師や看護師として社会に出ていきました。
政府の制限がないからといって、女性が完全に自由だったわけではありません。

しかし、ホメイニ氏は一転して、原理主義を唱え、79年に革命に勝利してからは
「イスラムに沿った男女平等」を強調しました。

原理主義のモスリムは、このイスラムに沿った“男女平等”を
「女性は立派な母として、子供の養育の責任と妻として家事をする権利があり、
男性は家族を経済的に支持し、保護する役割がある」と解釈したのです。

女性が外で働くことの廃止を目指したものの、原理主義グループは、
その目標を達成できなかったため、衣装の制限に矛先を変えました。

ホメイニ氏の命令で、ヒジャブを着用していない女性は政府機関に
立ち入り禁止となりました。
多くの女性たちがデモを起こして抗議しましたが、ヒジャブは必着となりました。

79年の革命後、女性が失ったのは衣装の自由だけではありません。
女性の歌っている声を男性が聞くことは、イスラム教に反する行為だとされました。
その結果、国内の女性は歌手としての活動が禁じられたのです。

海辺は男性用と女性用に分けられ、女性は定められた場所以外では
水着で泳ぐことは認められません。
結婚式の会場も、男女は一緒に入れなくなりました。


とはいえ、女性たちも負けてはいません。
知恵を絞り、自由を求める挑戦を始めました。

その2つの工夫を紹介しましょう。
やっと本日のテーマに入ります。

まず、女性は大学進学を懸命に目指しました。
79年革命以降、小中学校や高校はそれぞれ男子校と女子校に分けられました。
しかし、大学はまだ男女一緒に授業を行うため
女性はこの“唯一のチャンス”を逃せませんでした。
今やイランでは、大学入学者の55%以上を女性が占めています。

女性が取り組んでいるもう1つの“工夫”は、美しさのアピールです。
衣装について大きく制限されているイランの女性は、厳しい制約の中で、
できる限り自分の美しさをアピールするよう心掛けています。

髪の毛で自分の美しさを表現できないので、顔に注力するようになりました。

目や眉毛は十分美しいので、あとはこの美しさにふさわしい“鼻”だけだと思ったのか、
鼻の整形手術をする女性がイランは世界1位となりました。

これはイラン女性の美しさの制限に対抗する抗議と“努力”ではないでしょうか。

「顔しか見えなくて、鼻は顔の真ん中にあるので、手術しないとだめだ!」と
ある女性は外国メディアのインタビューで答えていました。

この女性はこうも話しています。

「イランの女性はファッションへの関心が高すぎると思う。
イランの女性は社会的に貢献できる実力を見せることができないので、
自分自身を見せることに力を入れている。
控えめな衣装に対する影響もあるでしょうが、
様々な手段で『ヒジャブ』に抵抗しようとしていて、
整形で自分を美しく見せるのも、その手段の一つでしょう」と。


しかし、こうした女性の制限突破の工夫は、決してスムーズに
進んでいるわけではありません。
政府とファッション好きの女性との間では、終わりなき戦いが続いています。

8年前から政府によって「指導パトロール」が任命され、
大都市の大通りできちんとした衣装を着用していない女性を逮捕するのです。
逮捕された女性は、罰金を払わなければ釈放されません。

そもそも“きちんとしたヒジャブ”とは何でしょうか。
おそらく指導パトロールに聞いてもはっきりした答えは返ってきません。
それは、各指導パトロールの判断で決まることなのです。

イランはトルコに比べると女性の自由は厳しく制限されているかもしれませんが
一部のアラブ国に比べると、ある程度のレベルにあると言えるでしょう。
こうした中でイランの女性は衣装の自由獲得を狙い、自分なりに戦っています。

ベールで髪の毛を隠すのであれ、スカーフを使わず自分の美しさをアピールするのであれ、
それは女性が自由に選択すべきことです。
この自由を必死で求めているイランの女性を、応援したいと思います。


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