「春眠暁を覚えず」という言葉がありますが、
さんは、ぐっすり眠れていますか。
それとも、不眠に悩まされていますか。

全国の20歳から79歳の男女7,827名を対象に、
不眠に関する意識と実態を明らかにするための調査が実施されました。

調査によると、日本の成人3人のうち1人が、「寝つきが悪い」
「睡眠中に何度も目が覚める」「朝早くに目が覚める」など
何らかの不眠症状に悩んでいると言われています。

国際的な不眠症判定法「アテネ不眠尺度」によると、
調査対象者の約4割(38.1%)が「不眠症の疑いがある」、
約2割(18.4%)が「不眠症の疑いが少しある」と判定されました。

と、いうことで
今日の話題は、米国ベンチャーの開発した「睡眠ガジェット」です。

アメリカでは、毎年3月中旬にテキサス州オースティンで
「South by Southwest(サウス・バイ・サウスウエスト、SXSW)」が開催されます。
音楽と映画、最新技術の複合イベントで、展示会をはじめ
セミナー、ライブ、上映会、コンテストなど数千もの催しが行われ、
80カ国以上から8万人以上もの来場者を集める人気イベントです。

今回はそのなかでも、世界の最新技術とベンチャー企業が集まる
「インタラクティブ」部門で、
驚くようなアイデアを提示する海外の注目ベンチャーをご紹介します。

SXSW期間中は、ベンチャー企業が中心となり、
ビジネスアイデアや展開プランなどの優劣をプレゼンで争います。
そのなかでも注目度の高いコンテストの1つ、「ReleaseIt(リリースイット)」で
今年優勝を果たしたのが、米国のベンチャー、Inteliclinic(インテリクリニック)社の「NeuroOn(ニューロオン)」です。

ニューロオンは、睡眠リズムの改善を目指すアイマスク型のガジェットです。

今年から製品の本格出荷を予定しており、
現在は予約受付中(一部出荷を開始)の段階です。

https://www.rakunew.com/items/65089-Neuroon

ポーランド人の創業者らがサンフランシスコで立ち上げ、
日本語のウェブサイトは簡単なものしか用意していないにもかかわらず、
注文は、実に7割が日本の消費者が占めているという、
極めてユニークなベンチャーです。

SXSWが、大型のコンテストで優勝できた理由は何か。
そして、創業者たちも驚くほど日本で人気を集めている理由は何か。

ノンレム睡眠とレム睡眠の長さを調べ、睡眠の質の改善につなげようとする、
いわゆるスリープトラッキング機能は、日本でも多くの
ウエアラブル機器が採用しています。

ニューロオンにも同様の機能は備わっているのですが、
こちらが中心に据えるのは睡眠「リズム」の改善です。

例えば、夜型の勤務が続き、深夜は活発になるがなかなか寝付けず、
朝は起きるのが非常につらい、という経験がある人は多いでしょう。
もっと分かりやすいのは、海外旅行の際の時差ぼけ。

昼と夜が急激に入れ替わり、その影響で強烈な眠気に襲われる。
これらは、体内時計が実際の時間とずれてしまっていることが原因です。

ニューロオンは、こうした体内時計のずれを修正し、
ユーザーの望む睡眠サイクルを作り出すことを目標としているのです。

では、具体的に、どのように睡眠のリズムを変えるのでしょうか。

秘密は、アイマスク内部のLEDにあります。
ニューロオンの機能の1つ、バイオリズム・アジャスター機能では、
ちょうど両目に当たる位置に埋め込まれた強力な青色LEDが、
5秒に1回のペースで発光します。
光の力で、強制的に体内時計を調整するのです。

国内でも、朝方になると徐々に明るくなるLED照明は売られていますが、
なぜ5秒に1回の点滅なのか。

実は欧米でのさまざまな研究により、
点灯し続ける光よりも点滅する光のほうが、
体内時計を調整する効果が高いことが分かってきているのです。

インテリクリニックの創業チームは、この点滅する光の効果に着目し、
睡眠ガジェットとしての新たな差別化要素を作り出したのです。

実は、13年に米国のKickstarterでクラウドファンディングを実施した際は、
他のスリープトラッカーと同様、レム睡眠、ノンレム睡眠の
分析を基にした機能を前面に出していたが、
クラウドファンディングを進めるなかで、
睡眠の研究者からさまざまな反応があり、
機能や方向性についていくつか具体的な提案を受けたそうです。

これを受けて、インテリクリニックはニューロオンの方向性を転換し、
「睡眠のリズムを変える」という、
よりアクティブな機能を前面に出すことにしました。

実際にどれだけ睡眠リズムを変える効果があるかは、
同社が行っている実証実験の結果やユーザーからのフィードバックが
出そろってみないと見えにくいです。

とはいえ、昨年には、デトロイトの大型病院であるヘンリー・フォード病院で、
シフト勤務者を対象とした睡眠リズム改善の実証実験を開始しています。

また、各国の航空会社とも共同研究や試験的な導入の話し合いを進めており、
そのなかには全日空(ANA)も含まれているそうです。
現在、医療をはじめ、関係する業界からの注目度は非常に高いのです。

加えて、CEOのアダムチェック氏はワルシャワ医科大学出身で、
大学時代から睡眠の研究に携わってきた人です。
その知見を生かして、ニューロオンはユーザーの動きや心拍に加え、
脳波も利用してノンレム睡眠、レム睡眠を分析しています。

ニューロオンは、スリープトラッカーとしても、
技術的に一歩進んだ製品なのです。
こうした点も、医療関係者から信頼を集める理由の一つになっているんですね。

実は、現在はまだ予約段階です。
なぜ日本で人気を獲得しているのかは、
インテリクリニック社もよく分からないそうです。

しかし、日本人の労働時間が世界的に見ても長く、
睡眠に悩みを抱える消費者が多いことは、
市場調査から把握しているので勝算はあると感じています。

日本で通信機器を販売するためには、技術基準適合証明(技適)が
必要ですが、すでに1月に取得済で、
今後は、日本でのクラウドファンディングや
他社と協力しての販売体制の構築を検討している段階まで来ています。

もうしばらくすると、さんの周りでもニューロオンを手に入れて、
快適に毎日を過ごす人が増えているかもしれませんね。