最近出会う若い人たちは、県の名前や、
日本地図のどこにあるのかも知らないことが多く驚かされます。
たまたま社会科が嫌いだったのかもしれませんが、
情けなく感じるのは私だけなのでしょうか。

当然のことですが、多くの人は、
世界の話になると、さらに知らないことが多いのではないかと感じました。

であれば、時事ネタと一緒に基本ネタも意外と面白いのかもしれないと、
勝手にそう思いましたので、試しに101号は、
そのパターンで進めてみようと思います。

その第1号は、スイスにしました。

スイスと言うと、どんな言葉やイメージが浮かびますか。

スイス銀行、
アルプスの山々、
レマン湖、
マッターホルン、・・・などでしょうか。

スイスの正式名は、スイス連邦といい、ヨーロッパにある連邦共和制国家です。

日本語では、スイス連邦、あるいはスイス、
漢字による当て字では瑞西と表記します。

公式の英語表記は Swiss Confederation、通称は Switzerland。

国内には多くの国際機関の本部が置かれています。
首都はベルンで、
主要都市は、チューリッヒ、バーゼル、ジュネーヴ、ローザンヌなど。

永世中立国という言葉を聞いたことがあると思いますが、

現代におけるスイスは、国軍として約4,000名の職業軍人と
約210,000名の予備役から構成されるスイス軍を有しています。

有事の際は焦土作戦も辞さないという、毅然とした国家意思を表明しながらも、
永世中立を堅持してきた平和国として知られています。

スイスは国際連合平和維持活動(PKO)への参加に積極的で、
国外に武装したスイス軍部隊を派兵していますが、
決して武力行使をせず、
PKOでは武器を用いない人道支援に徹しています。

意外に思われるかもしれませんが、
国民皆兵を国是としており、徴兵制度を採用しています。
女子は任意ですが、20歳から30歳の男子には兵役の義務があります。

そして、先に書きましたが、多数の成人男子が
予備役もしくは民間防衛隊(民兵)として有事に備えているのです。

平和国家であるスイスですが、スイス傭兵の精強さは、
ヨーロッパの歴史上においても有名で、
現在もバチカン市国の衛兵はスイス傭兵が務めています。

実は、近世に至るまでスイスの主な産業のひとつとして存在したのが傭兵でした。
スイスはその地形から農業などの産業を発達させにくかったため、
戦力を輸出することで産業不足を補っていたのです。

現在は戦力の輸出は禁止されているものの、
バチカンの衛兵隊のみは唯一の例外として認められているのです。

経済面では、スイス連邦では、連邦政府、州、市町村の
3段階の行政組織が課税権を有しています。
税率は平均20%で、日本に比べるとかなり高い税率です。

しかし、それぞれが独自に税率を設定できるため、
個人の税率を低く設定して外国の富裕層の取り込みを図る州もあります。

スイス企業の産業分野は手広くて、金融業(銀行、保険)、
電力、観光業、精密機械工業(時計、光学器械)、
化学薬品工業などが挙げられます。

法人税についても優遇措置をとっているので、
外国から本社をスイスへ移転する企業もあるようです。

さらに、チューリッヒはスイス経済の中枢であり、
欧州屈指の金融センターです。

「スイス銀行」という言葉を聞いたことがあると思いますが、
これは単一の銀行の名前ではなく、スイス国立銀行とも違います。
一般には、匿名性や守秘性の高さで知られるプライベートバンクを指しています。

少し余談になりますが、スイス銀行は匿名口座のため守秘性が非常に高いのです。
口座名義が契約者の任意の番号で管理されており、名義人が表示されません。
そのため、世界の富豪に愛用されてきた長い伝統と実績、
および高い守秘義務の規定があります。

口座の顧客の身元を知っているのは担当者とごく一部の上層部だけで、
口座番号が漏れてもそこから身元を割り出すことはできません。
入金は口座番号さえ知っていれば誰にでもできますが、
口座番号を間違えると、守秘義務により、振り込んだ金は返って来ません。

顧客は来訪の際には前もって申請し、
必ず決められた時間に来訪しなくてはいけません。
他の顧客や自分の口座の担当以外の従業員との接触を避けるためです。

エレベーターは担当者が待つ階にしか停まらないようになっています。
そして、口座維持費が必要なので、為替相場にもよりますが、
最低で1000万円前後の残高が常に存在する事が必要です。

IMFによると、2015年のスイスのGDPは6640億ドルで、
世界第19位です。
同年の一人当たりのGDPは80,675ドルで、世界2位です。
(ちなみに、日本は、32,485ドルで、26位です。)

富裕層も非常に多く、9.5%の世帯が金融資産で
100万ドル以上を保有しているとされます。

さて、最後に今日の話題ですが、そのような国で、
「最低生活保障(ベーシック・インカム)」の導入について
賛否を問う国民投票が行われました。

ベーシック・インカムというのは、
年金や生活保護などの社会保障を廃止する代わりに
一定額を全国民に無条件で給付する最低生活保障制度です。

結果的には、賛成23.1%、反対76.9%の大差で否決されました。

ベーシック・インカムの具体的な支給額は提案の可決後に決める段取りでしたが、
市民運動家らは月額で、大人が2500スイスフラン(約28万円)、
子供は625スイスフラン(約69,000円)を提唱していました。

 
政府は現在の年金や失業手当を充当しても財源が不足すると指摘し、
反対するよう呼びかけていました。
経済界も働く意欲が大幅に下がるとして強く反対していました。

これに対し賛成派は貧困対策に有効なことや、
社会保障の一本化で行政の効率化につながると主張。

さらに、提唱する支給額は物価が高いスイスでは豊かに暮らせる水準でなく、
勤労意欲の低下にはつながらないとしていました。

ベーシック・インカムは失業問題など
市場経済の副作用を是正する仕組みとして期待される一方、
ばらまき政策に陥る懸念や労働者が働く動機を失うとの批判も多いのですが、

・・さんは、このような政策をどのように感じるでしょうか。

私が、スイスがユニークだと感じるのは、
このような国民投票が行われるしくみがあることです。

直接民主制が浸透したスイスでは10万人の署名が集まれば、
国民からの提案を投票に諮ることが決められているのです。

スイスでは、破格の報酬を受け取る会社代表に対して
過去にも高額報酬を規制する法案が通ったこともありますし、
現在は、多くの国と同じように、
経済格差の拡大が社会問題化している、という背景があります。

ベーシック・インカムの提案も、制度の実現よりも
問題提起を目指した面もあると言えるようです。

日本は、戦後1億総中流化社会を目指して経済発展をしてきましたが、
昨今は、国民の格差もどんどん広がっています。
この問題を今度どのように取り組んでいくのか、今の政治からは見えてきませんね。

今の政党は、与党も野党も、お互いに非難の応酬ばかりで、
聞いていても不快に感じます。
多くの問題がある中で、
もっと国民の声を聴く機会があればいいのにと思っています。

ヨーロッパに旅行に行かれたことがある人は体験されたかもしれませんが、
多くの国は日本に比べて物価が高いです。

ベーシック・インカムの話題とも関連しますが、スイスも物価は高く、

平均月収が6000スイス・フラン(約66万円)を超すスイスでは、
2500スイス・フランの給付では「足りない」との指摘もあったようです。

いろいろと書きましたが、スイスは理屈抜きに美しい国です。
機会があれば、一度は訪れる価値はあると思います。
それも、可能であれば素通りではなく、滞在型で・・・。