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フランスで徴兵制度復活!

フランスのマクロン大統領は
1月19日、海軍基地がある南部のトゥーロンにおいて、
軍の幹部や兵士を前に年頭の演説をした中で、
「国民が兵役に従事する仕組みを作りたい」と述べ、
2001年に廃止されていた徴兵制度を復活させる考えを示しました。

マクロン大統領は、2017年の大統領選で
18歳以上の男女を対象に約1ヶ月間の兵役を課すことなどを
公約に掲げていたそうですが、恥ずかしながら私は全く知りませんでした。

相次ぐテロの脅威に備えるため、
18歳から21歳の男女(約60万人)が対象になりますが、

マクロン大統領が徴兵制復活を言い出したことに
正直驚いたので、今回のメルマガのテーマにしました。

ヨーロッパでは徴兵制が一旦は廃れたものの、
再び導入する国が増えているようです。

現在ヨーロッパで徴兵制がある国は、
ドイツ、デンマーク、オーストリア、フィンランド、
ノルウェー、スイス、ロシアです。

さらに、スウェーデンでは1月から徴兵制を7年ぶりに復活させました。
兵士に志願する若者が減るなか、
近隣の軍事大国であるロシアの武力外交をにらみ
軍事力を強化するためというのがその理由です。

5月には、戦争を含む有事の対応マニュアルのパンフレットを
約470万の全世帯に配布する予定です。

ロシアの脅威を理由に徴兵制を復活させていますが、
実際のところ、ロシアがスウェーデンに侵攻するとは思えず、
政治的な思惑があるのではないかとしか思えません.

昨今、実際にロシアが侵攻しているのは、
グルジア(ジョージア)、ウクライナであり、
旧ソビエトの勢力圏のみなんですけどね・・・。

フランスにもどります。
フランスの意味合いとしては軍隊の体験ということのようです。
その目的は「危機意識高める狙いか」と言われているように
実際のところ徴兵期間は1ヶ月だけということであり、
現実として1ヶ月では兵士として十分な訓練は無理でしょう。

では、なぜ徴兵するのか?

若者を実際に軍隊に放り込むことこそが目的だと言えますが、
それは危機意識を煽ることによって政権維持という
政治的思惑もあると言われています。

また、街を守るガードマン的な役目を担うとも言われています。
実際には移民の増加に伴い、警護の人が足らなくなっているのです。

言い方を変えると、兵員が不足しているので
移民に対応しきれないという現実があるからです。

考えなければいけないのは、徴兵というのは、
このような形ででも復活させることができるということです。
現在徴兵制を実施している先に挙げた国々でも、
実際には、警護だったり、街の清掃などのボランティアであることが多いです。

危惧するのは、実際の戦闘が行われることに至った時、
志願兵のみで成り立たなくなったら、どこの国でもそうですが、
体験入隊としての徴兵は、そのまま兵士として動員するための
徴兵に格上げされることになります。

フランスの 徴兵制復活へむかった時系列を少し列挙してみまと、

・移民が700万人もやって来た
    ↓
・パリ市内は移民が出したゴミの山!
    ↓
・マクロン移民法を改正しようとするが潰される
    ↓
・浮浪移民を警察が追い出すがスグに戻ってくる
    ↓
・警察だけではもはやキャパがオーバー
    ↓
・徴兵制で警備員を増やす予定
    

現在、フランス国民6200万人に対して移民700万人という現状です。
さらには、昨今の連続した凄惨なテロ事件!

自由・平等・博愛を謳い、移民を受け入れてきたフランスですが、
移民政策に端を発した差別が引き起こした結果かもしれません。

(時間がある方はご覧ください)

マクロン大統領は、導入を目指すと見られますが、
徴兵制度の復活には、その効果を疑問視する声や
多額の費用がかかるという批判もあり、
実現に向けて曲折も予想されます。

今後、眼が離せませんね。

どのような理由にせよ、フランスが徴兵制復活というのは、
戦争に一歩近づいたようで、
その意味ではショッキングなことでした。

日本の場合に置き換えてみれば、
そういえば、前防衛相の稲田朋美氏も
同じような徴兵制導入を主張していましたね。

私個人は、単純に「戦争は絶対にしてはいけない!」
という想いだけであり、
そのためにも憲法は変えてはいけないと思っています。

いたってシンプルなことしか考えていないのですが、
本当のところ、日本は、日本人はどう思っているのでしょうか。

私は、小学生の頃、社会科でスイスは永世中立国で
戦争はしないと宣言していること、
そして日本は憲法により戦争はしないと宣言していることを知り、
とても嬉しく感じたことを覚えています。

なぜ世界中がそうしないのだろうかと子供心に感じたものです。

今日のテーマはフランスのことなので、
自衛隊のことをあれこれ書くつもりはないのですが、
日本では若者の自衛隊離れも著しく、
いずれこのままでは維持できなくなると聞いています。

自衛隊員には現時点でもかなりの報酬が出ますので、
格差社会を拡大させて貧乏人に入隊させるという戦略をとったり
そうでなければ徴兵という方法で軍隊に送りこむか、
そんな日が来なければいいと心から願うばかりです。

サウジアラビアで何が起ってる?

年明けの1月6日にサウジアラビアで、ムハンマド皇太子によって
王子11人を拘束したというニュースが流れました。

ムハンマド皇太子はサルマン国王の実子で
次期国王と目されている方です。

今回、ムハンマド皇太子は、サウジアラビア政府が負担してきた
王族の光熱費の支払いを停止する方針を示しましたが、
王子11人が首都リヤドの宮殿で抗議の座り込みを行ったため、
社会秩序を乱したとして拘束されたと欧米メディアは伝えています。

逮捕された王子の中には、アルワリード王子も含まれており
彼はTwitterの大株主です。
噂では95%の株を所有とか…。

この事件は、たいして大きな話題にもならなかったのですが、
いろんな「?」を持たれた方も多かったのではないでしょうか。

例えば、
皇太子が拘束できる権限があるの?
王子が11人もいるの?
何が起こっているの? 
光熱費の負担ぐらいで座り込みするの?  等々

補足説明をすると、
サウジで王族の抗議が公になることはめったにありません。

ここ数年、原油価格の下落で歳入が落ち込んでおり、
次期国王と目されるムハンマド皇太子(32)を中心に経済改革を進めており、
財政緊縮に向けての見せしめの側面もあるようです。

ロイター通信によると、拘束された王子らは4日、
水道料や電気料の政府負担を停止するとの勅令に対し、
首都の宮殿に集まって決定を見直すよう抗議しました。

さらに、王子らのいとこの一人が2年前、
死刑判決を受けたことへの補償も要求しました。

ムハンマド皇太子が率いる「反汚職委員会」は昨年11月、
横領などの疑いで有力王子や大富豪ら200人以上も拘束しています。

そもそも「サウジアラビアの王子」の定義はどういうものかというと、
王族の男子ということで、日本で言うなら「男性の宮様」のことで、
皇太子かどうかということではありません。

昨年3月にサウジアラビアのサルマン国王が日本を訪問されましたが、
そのド派手な行動は記憶に新しいのではないでしょうか。

王族といえば一般的にお金に困っていない印象がありますが、
英BBCテレビによると、サウジの王族は数千人を数え、
資産や地位には大きな開きがあるといいます。

その実態はというと、

サウジアラビアは、1932年にアブドルアジーズ国王が作った国です。

国王の嫁は26人だったというので、
イスラム教の4人までなら結婚していいという規律を
完全無視な絶対的権力を誇っていたことがわかります、嫁の数で。

26人も嫁がいれば、子供の人数もネズミかウサギのように多くなるわけで…

初代のサウード国王には、37~40人の王子がおり、
子供は、男女合わせると100人を越えたとか・・・。

そんな状態だから、王子の人数ハッキリわかっていないということで、
37~40人生まれた当時の王子が、現在、王子たちの父となり・・・

さらに、現在のサルマン国王の息子も30人ほどいるそうで、
一人につき3人王子が生まれていれば、現在の王子の数は100人超え!

実際、数百人と言われています!

ということで、王族の人数は15,000人を超えているそうです!

石油のお陰でバブリーなサウジアラビアの王子たちですが、
一体どれくらいバブリーなのか、王子・王族の給料と、
特権もご紹介しましょう。

初代国王の37人以上の息子たちは、
現在既に亡くなったり、お爺さんの年齢ですが、
初代国王の息子だから給料が国から固定給で支払われています。

その額、22,722,000円~30,674,700円/月!!!

初代国王の息子たちは、何もしなくても
月に2000万円から3000千万円の給料がもらえるのです!

初代国王の孫達(現皇太子及び王子たち)の給料は、3,068,550円/月

もちろん固定給です。

2000万円とか3000万円に比べたら10分の1なので、
グッと少なく感じますが、月額ですからね!

初代国王のひ孫たち(皇太子達や王子達の子供)の給料は、1,477,450円/月。

初代国王のひ孫の子供、玄孫(やしゃご)には909,200円/月。

月に100万円未満しかもらえない!?

遠戚には90,920円/月!

10万円ないの!
じゃなくて、遠縁ってだけでもらえるの?

それだけではなく、王子たちはボーナスももらえるんです!
というか、ご祝儀ですね。

結婚したり、家を新築(宮殿を新築)した時にボーナスが支給されるのです。

その額100万~300万ドル!
日本円に直すと、113,620,000円~340,860,000円!

1億円から3億円以上のご祝儀!

もちろん、王子たち王族の給料やご祝儀は、
国家予算からでているわけです。

そしてサウジアラビアの国家予算は400億円(人口は3228万人…2016年調べ)。

そのうち、王族への給料は5%を占めていたというので、
見直ししなくてはいけないというわけです。

ともかく、初代国王の息子ならひと月に2000万円~3000万円もらえていても、
孫や玄孫は20分の1以下の給料です。

親の世代と同じようにしていては、生活は苦しくなるばかり・・・
そこで、サウジアラビアの王子たちは、
毎月の固定給だけではお金が足りない時、どうするのかというと、

まず、土地を売ります。

ただし、自分の所有地ではなく、国有地。

政府に国有地を都合してもらって、不動産会社に高値で売ります。

次に企業から賄賂をもらいます。

「もしお小遣いをくれたらお前のところの商品を、
政府が採用するように口を聞いてあげてもいいのだよ?」

ということです。

10年前に、バンダル・ビン・スルターン王子が
アメリカの武器を扱う企業から、10年間で約2400億円の賄賂を
もらっていたことが報道されました。

他には、銀行に借金して踏み倒す。

王子たちの借金踏み倒しのせいで、
サウジ国立商業銀行が破綻寸前になったことがあるそうで…
笑い話ですね。

サウジアラビアの王子や王族たちが恵まれているのは、
給料だけではありません!

王子や王女ともなると、国内では「特権」が存在します。

報道されている特権だけでも
•高級ホテルのスイートルームが無料
•国営航空サウディアの搭乗チケット無料  等々。

たぶん、もっともっと、顔パス的な特権があることでしょう。

現在、徐々に特権が減らされているようですが、
最終的にはどこまで減らせるのでしょうか?

サウジアラビアは、世界屈指の原油埋蔵量を誇っており、
国の歳入に占める原油生産の割合は70%を超えます。

これにより国民はさまざまな石油の恩恵を受けてきました。

税金なし、教育費・医療費なども無料、
さらに、ガソリンは、1リットル=30円未満など。

しかし、原油価格の低迷で、国家財政は次第に厳しい状況となっています。

サウジアラビアのサルマン国王が力を注いでいるのが経済改革ですが、
その一方で国内の政策も大きな見直しを図る時期に来ていると判断した
それが今回の処置です。

サウジアラビアが新たに成長を目指す9つの分野で
重点的に投資や技術協力などを推進することや、
日本企業の投資環境を整備するために『経済特区』の設置を
協議するとしています。

日本への期待が高まるサウジアラビア。
ビジネス分野では、それを見越した動きが加速しています。」

昨日(1/13)のニュースで、ムハンマド皇太子が、女性の権利について
少しずつ開放していくということが報じられました。

まず、サッカー観戦をスタジアムで見ることができるようになったそうです。
そして選挙にも参加できるようにしました。

今後、サウジアラビアのこうしたニュースが
どんどん流れてくるのではないでしょうか。

単に王子11人を拘束したという表面の事象だけを見るのではなく、
よその国で何が起こっているのか興味を持っていくことは
さらに大事なことだと思います。

外国人から見た日本のお正月って

話題は、お正月!

日本に住む外国人や、この時期に合わせて日本に来ている旅行者など、
一口に外国人と言っても感じ方は様々です。

同時に日本も時代の流れで、今までの習慣も
ひと昔前とずいぶん様変わりしているところはあります。

そのため、・・さんの感じ方とは少し違うかもしれませんが、
お気軽に読んでいただけたらと思います。

古来、お正月は、家々に幸せをもたらすという
「年神様」をお迎えして祝う日でした。
日本のお正月にはさまざまなしきたりや慣習があり、
私たちが当たり前のように行っている行事にはすべて意味があります。

お正月に周りを見回してみると、縁起のいいものがあふれていますね。
おせち料理も一品一品にそのような意味が込められていますし、
門松も鏡餅もいわれがあります。

それは「Happy New Year」のHappyとは少し意味合いの違う、
日本ならではの「めでたい」という概念ではではないでしょうか。
それに浸れるのがお正月のよさなのかなと思います。

まず、大晦日・・・
穏やかな除夜の鐘の音はいいですね。
にぎやかなパーティーなどではなく、
わたしは静かに新年を迎えるのが好きです。

そして、家族全員と大晦日に年越しそばを食べ、
元旦は初日の出を拝み、
新年のあいさつとおとそから始まって、おせち料理とお雑煮をいただき、
初詣で氏神様を含む三社参りをする・・・

それが、日本のお正月の原風景でした。

ところで、日本で新年を迎える外国人観光客たちは、
日本のお正月にどんな印象を持っているのでしょうか。

日本在住の外国人もそれぞれの家族や
友人との過ごし方があると思いますが、
急増する外国人観光客は日本でどのような新年を迎えたいのでしょう。

この時期に最も質問が多いのは「ニューイヤーの花火について」だとか。
「花火はどこで見られるか」
「カウントダウンのイベントはあるか」という質問が、
年末に向けて増えてくるそうです。

欧米ではニューイヤーズ・イブ(大みそか)といえばカウントダウンと花火。
そして友人たちとのパーティーで盛り上がるという人が多いようです。

カウントダウンでいうと、
東京・渋谷のスクランブル交差点でも行われています。

2016年の大晦日には初めて周辺を歩行者天国にし、
6万人以上もの人々が集まりました。
2017年も12月31日午後9時から1月1日午前2時まで、
渋谷駅周辺の交通規制を実施していましたね。

カウントダウンだけで花火はありませんが、大変な盛り上がりでした。
交差点を埋め尽くす人々のニュース映像をご覧になった方も
いらっしゃることでしょう。

観光客でも参加しやすいためか、
今年も外国人がかなり多かったようですよ。

そして、初詣!

夜0時少し前から除夜の鐘が鳴り始めると
お寺や神社に多くの人が繰り出します。

関西には多くの神舎仏閣がありますが、
最近では参道の注意書きには英語も併記されているところもあります。

人ごみの中を、参道の両側の出店をながめながら境内を進んでいき、
神社では見よう見まねで柏手を打って
お辞儀してお参りするという行為も結構楽しいようです。

実は「おみくじ」も外国人は大好きなんですよ。
近年は英語のおみくじを置いている神社も増えています。

また、日本の皇室に関心のある外国人も多く、
新年の一般参賀に行ってみたいという声は少なくありません。

皇居の新年の一般参賀に行くと、
日本の皇室の方々にお会いできることと、
普段は立ち入れない皇居の中に入れるということで
外国人観光客の関心も高いそうです。

しかし、外国人観光客にとっては、お正月は要注意の時期。
年末年始は博物館や美術館などが休館になっていることがあるし、
レストランやショップも閉まっていることが多いからです。

その一方で、
正月の風物詩「福袋」(LUCKY BAG)もよく知られていて、
アジアの女性たちに大人気です。

日本のお正月はおめでたい雰囲気であふれています。
新年のごあいさつも「明けましておめでとうございます」ですものね。

空飛ぶクルマの実用化への挑戦

自動車はドンドン進化していきます。

巷ではあまり話題になってはいませんが、
いま、「空」が有力な選択肢として浮上しているようです。

世界では、次世代の移動手段として論争が繰り広げられています。

まず、トヨタのお話から。

2017年5月の土曜日の昼下がりのことです。
愛知県豊田市の山林にある廃校の裏に、
数台の自動車が次々と滑り込んでいきました。

荷台から工具箱を取り出し校内へ。
廊下に無造作に置かれていたのは、
解体された空飛ぶ自動車の部品でした。

トヨタの若手有志が中心となり
2012年に立ち上げた空飛ぶ自動車開発プロジェクト
「CARTIVATOR(カーティベーター)」の仲間たちです。

参加者をトヨタだけでなく、デンソーなど徐々に社外にも広げながら、
「週末に手弁当で活動」を続けてきました。

手弁当なのでとにかくお金がありません。
作業場は豊田市からほぼ無料で借りている廃校。

電源は、唯一生きている屋外のコンセントから
長い電源コードで引っ張ってこなければ使えない状況です。

これまで校庭で飛行試験を繰り返した機体は、
活動をする中で出会った人物が
自身の退職金数百万円をはたいて手作りした
「空飛ぶクルマ」の部品がベースとなっています。

プロペラは大型ラジコンのものを転用し、
テスト飛行では、地上約1.5mの場所で約1分、
浮かばせることができました。

どんどん資金がつぎ込まれるシリコンバレーのベンチャーに比べると、
なんとも過酷な状況ですが、参加者たちの表情は明るく、
その目はキラキラと輝いていました。

目標は2020年の東京オリンピックの開会式で飛ばすことです。

カーティベーターは2012年、代表の中村翼氏が
社外のビジネスコンテストに参加したのをきっかけに発足しました。

オーダーメードのEV(電気自動車)という計画で優勝し、
その後、アイデアを練り直すなかで空飛ぶクルマにたどり着いたのです。

「わくわくするモビリティーを実現したい」。

こんな思いに賛同し、
デザインや機械設計などを担当する約30人が加わりました。

トヨタグループ外からも、
ドローン(小型無人機)の開発で実績を持つ
三輪昌史徳島大准教授らが参画し、
ガンホー・オンライン・エンターテイメントの創業者、
孫泰蔵氏らも支援者として名を連ねています。

その一方で、事業としての推進体制はなかなか固まりませんでした。

開発を加速するために、ベンチャーキャピタルからの
資金調達なども模索したのですが、思い通りに進みませんでした。

2015年半ばにはトヨタ幹部に支援を直訴したものの、
その時は、具体的な動きにはつながりませんでした。

ですが、トヨタの研究開発に対する姿勢が徐々に変わり始めました。

2015年11月に技術系の新興企業に投資する
ファンドを設立することを決め、
2016年に入ると外部の専門家をトップに据えた人工知能(AI)の
研究開発子会社を米国に設立したのです。

そして、トヨタは6月10日、2018年3月期の研究開発費を
過去最高水準に迫る1兆500億円とする計画を発表しました。

さらに、2017年5月14日、
トヨタをはじめとするグループ会社15社から、
カーティベーターに対して
今後3年間で総額4250万円の支援金を出すことが決まりました。

クルマは進化を続けて利便性を高めてきましたが、
排ガスによる環境問題や新興国などの渋滞は非常に深刻です。

これらを解消にむけ、自動車各社は電気自動車(EV)や
燃料電池車など新たな動力源のクルマを開発しており、
同時に自動運転の研究も進めています。

そのようななか、
個人の移動手段として空飛ぶクルマがにわかに注目を集めるのは、
従来の発想ではなく、現在の自動車が抱える問題を
解決できると期待されているからです。

道路そのものが不要になれば、渋滞はなくなります。
垂直で離着陸できれば滑走路は不要です。

これにより、人の動き、流れが劇的に変わる可能性を秘めています。

SF映画で、宇宙という空間にビルが建ち、
その間を、車が飛び交っている映像を見たことはありますが、
それとはちょっと違うような・・・。

頭の固い私は、数台の車ならいざ知らず、
たくさんの空飛ぶ車が今の地球上で走り回る、
いや、飛び回る情景を想像してみた時、
自分の頭上に車がいる?ということが、にわかに想像できません。

こんなことを考えていたら、進歩はないんでしょうね。

なので、正直、法整備や環境整備と言っても
ハードルはまだまだ高いことでしょう。

一方、トヨタ以外では、
米グーグル共同創業者の、ラリー・ペイジ氏が出資する
米新興企業のキティホークなどが実用化計画を示しています。

欧州航空機大手エアバスは年内に試験飛行を始めると公表しました。

ライドシェア(相乗り)の米ウーバーテクノロジーズは、
4月に空飛ぶタクシーの開発計画を発表しました。

いまや、「空飛ぶ」は決して絵空事ではないところに来ています。

その一方で、
先ほども少し触れましたが、安全性の確保に加え、
免許や交通ルールなどの法整備といった課題は山積しています。

騒音や風といった課題があるし、
頭上を飛行すると不安に思うということも確かではありますが、

今後、トヨタなど大手企業が支援して開発が加速すれば、
現実としての議論が増すのは確実でしょう。

技術革新への備えは盤石なようにみえますが、
実態はやや異なるようです。

「将来のクルマは現在とは
全く異なる形になっているかもしれない」と、
トヨタ幹部は危機感をあらわにしています。

IT(情報技術)企業や新興企業など、
異質な考え方や速さを持つ新たなライバルとの競争が始まっており、
従来の枠組みを超えた突き抜けた発想も必要とみています。

つまり、クルマは、陸(2次元)から空(3次元)へと飛び立つ。
すると、製品開発に必要な技術が従来の自動車関連だけでは
足らなくなります。

航空力学や空中での機体制御など、
全く分野の異なる技術が必要になるのです。

一部には慎重な見方があったものの、
内山田竹志会長が
「技術の完成を待って資金を出すやり方では前進しない」と判断。

草の根の革新に賭けたのです。

トヨタはかつて、事業の柱を
自動織機から自動車へと大胆に変革をした経験を持っています。

それからおよそ80年。
再び技術の大転換期を迎えています。
小さな一歩ですが、新たな取り組みは
非連続な変化を乗り越えるきっかけになるかもしれませんね。

空飛ぶ車5選
http://car-moby.jp/24148#c6

次回は続編として、海外の「空飛ぶクルマ」の開発状況や、
空があれば「水」もあり、という話題をお届けする予定です。

江戸時代に介護休暇があった?

今回は、いつもの海外がらみの話題からかなり路線を変えて、
日本の歴史に少し触れていただこうと思います。

突然ですが、・・さんは、明智光秀ってどんな人物だという
イメージを持っていますか?

もっとも有名なお話としては、「本能寺の変」ですよね。

今回お話したいのは、明智光秀の遺産か?
なんと江戸時代に介護休暇制度があったというものです。

光秀と介護休暇?
どんな関係があるの?と、思われたことでしょうね。

8年後の2025年、日本は超高齢化社会になるそうです。
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になるに伴い、
日本の3分の1が高齢者になってしまうため
「2025年問題」ともいわれています。

そんな中、今年から、従来の「介護休業」に加え
1日単位でも休める「介護休暇」を認めるよう企業に義務付けられました。

ただ「制度はあっても現実には休めないよ」という
ビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。

そういう意味で、日本では介護休暇がすんなり取れる時代は、
まだ遠いのかもしれません。

しかし介護休暇制度が江戸時代に
すでに実施されていた記録が発見されました。
しかも当時、その介護を引き受けようとしていたのは女性ではなく
武士だったというのですから驚きです。

介護休暇制度を実施していたのは京都の亀岡市にあった「亀岡藩」。

まずは、どのように実施していたのか、
ある武士が藩に「介護休暇」を願い出た文書が残っているので
ご紹介しましょう。

以下は「京火消詰」(消防士のように京都の火消を担う職務)に就いていた
伊丹孫兵衛という藩士が京都の「亀岡藩」に介護休暇を願い出た文書です。
(京都府総合資料だより2005年10月1日第145号より抜粋)

以下のように意訳されています。

「私の祖母が、先頃から病気で、今も調子がよくないと
亀岡から連絡がありました。
老人のことですから、全快するとは思えません。
なにとぞ、祖母の命があるうちに、暫くでも看病をしてやりたいので、
火消詰の休業をお願いします。
はなはだ恐れ入りますが、看病のためお暇を下さりますようお願いいたします」

この申請を受けた亀岡藩は協議を行い、
伊丹孫兵衛は5日間、介護に専念した結果、
幸いにも祖母は快方に向かったため、無事に現場復帰したのだそうです。

つまり江戸時代には、「士農工商」の身分制度のもと、
藩士(武士)は藩の仕事を優先すると思っていたのですが、
亀岡藩は少なくともそうでもないようです。

もしかしたら「亀岡藩」が特別だったのでしょうか。

亀岡藩があった亀山城といえば・・・そう。
あの明智光秀が築城した城です。

JR京都駅から嵯峨線に乗り換えて約20分。
川下りで知られる保津峡を越えると数分でJR亀岡駅に到着します。

今は、城は取り壊され、亀山城址だけが残っています。

実は、亀岡市が配っているパンフレットが驚きなのです。

そのパンフレットには、表紙に大きく
「一人でも多くの人に知ってもらいたい明智光秀 京都府亀岡市」
と書かれています。
http://www.kameoka.info/mitsuhide/

しかも「戦国の世を波乱万丈に生きた明智光秀をNHK大河ドラマに!
署名活動にご協力をお願いします」
と書かれたリーフレットが添えられています。

どうやら、この町にとって明智光秀は特別な存在のようです。

明智光秀が亀山城を築城したのは440年前の1577年(天正5年)。
丹波攻略の居城とするためでした。

光秀はその後、丹波を平定したものの1582年(天正10年)に
「本能寺の変」を起こし、「山崎の合戦」で秀吉に敗れました。

亀山城はその後、豊臣家の支配下に置かれ、
江戸時代には徳川家の支配下で「亀岡藩」の城となりました。

しかし明治維新後の1873年(明治6年)、明治政府の廃城令により廃城が決まり、
4年後の1877年(明治10年)に天守閣が取り壊されています。

今は城址は公開されていて、その中に明智光秀が築いた城の石組みや、
かつての亀山城を偲ばせる水郷の風景が残されています。

明智光秀が亀山城に居たのは、築城から本能寺の変を起こすまでの
5年ほどの期間だけです。

それなのに亀山城址には今も明智光秀の面影が残され、
地元の人々は今も明智光秀を慕っておられるのです。

440年間ずっと、明智光秀はこの町に生き続けてきたのでしょう。

それを裏付けるように、観光案内所で渡されたパンフレットには
「光秀の知られざる功績!」が5つ挙げられています。
とりあえずタイトルだけご紹介しましょう。

1. 丹波攻略に着手した光秀がとった、統治者としての手腕
2. 国人衆らを家臣として任用
3. 人心を掌握し、旧幕臣衆をうまく任用した「光秀の人材抜擢術」
4. 校則?社則?いち早く管理システムを確立した光秀の「家中軍法」
5. 城下町「亀岡」の都市計画!亀山城築城時における計算された町づくり

 
このタイトルだけを見ても、光秀がこのまちや家臣のために
尽力したことがわかります。

なかでも3番「光秀の人材抜擢術」には
「合戦で討ち死にした家臣を列記し、
近江国の西教寺に供養米を寄進しているのをはじめ、
合戦で負傷した家臣に対する疵養生の見舞いの書状がいくつも残っている」と
エピソードが添えられています。

どうやら、光秀は家族や家臣をとても大切にする武将だったようです。

そんな光秀の“家臣を思う心”は江戸時代にも
この地に受け継がれていたのでしょう。
だからこそ亀岡藩では介護休暇を認めていたのかもしれません。

亀岡市の公式サイトには充実した福祉の内容がズラリと紹介されており、
光秀の精神は今の亀岡市にもうかがい知ることができます。

さらに言うと、明智光秀といえば主君の織田信長を「本能寺の変」で倒した
謀叛人というイメージがありますが、反面、それが成し遂げられたのは、
光秀の家臣たちが「敵は本能寺にあり」の言葉を聞いても疑わず、
光秀に従ったからとも言えます。

家臣たちだって「敵は本能寺にあり」と聞いて
「なぜ、本能寺に向かうのか」と疑問を持った家臣もいたのではないでしょうか。
そして「強大な力を持つ信長を討つなんて、とんでもない。
もう光秀には従えない」と思って離反しても不思議ではありません。
そうなっていたら「本能寺の変」は起こらなかったでしょう。

しかし家臣たちは何も言わず光秀に従ったのです。
「本能寺の変」は家臣の忠義があったからこそ、
成し得たといえるのかもしれませんね。

最後に、今に語り継がれる明智光秀の言葉をひとつご紹介しましょう。

「あの人物は俺の重臣だが、昔、父の領内で農夫をしていた。
それを父が登用してまず足軽にした。
おそらく、あの時の恩を忘れず、農民だった初心で父の霊を弔っているのだ。
武士はすべてああありたい。」

これからの超高齢化社会にも企業の経営者が光秀のように考えられたら、
介護休暇制度にとどまらず、
働きやすい職場が整っていくのかもしれませんね。

大切なのは会社が社員を大切に思う心だと、光秀は教えてくれているようです。

さんも、一度亀岡に足を運んでみられたらいかがでしょうか。

サウジアラビアとナウル共和国の話

さて、今月、はるばるサウジアラビアから
サルマン国王が来日していましたね。
空港に到着した際に、事前に空輸しておいた
エスカレーター式の特製タラップで降りてきた映像を
ご覧になった方もいらっしゃることでしょう。

サウジアラビアってどんな国かご存知ですか。

サウジアラビアといえば世界最大の産油国であり、
日本は原油の3割をサウジアラビアからの輸入に頼っています。
このため、日本とは切っても切り離せない深い関係にある国です。

ほとんどの日本人は、サウジアラビアと聞くと、「王様がいる国」とか
「お金持ちの国」というようなイメージを持つのではないでしょうか。

今回の来日では、先に書いたエスカレーター式の特製タラップとか、
随行者1000人以上とか、移動用のハイヤーが数百台と言ったような
芸能週刊誌のような話題が前面に出た報道が多くなされていたように感じます。

しかし、今回の訪日で重要なことは、
なぜサウジアラビア国王が御自(おんみずか)ら
極東の日本までやってきたのか。

その理由にこそ、
現在サウジアラビアが置かれた切実な窮境があります。

産油国の金満ぶりをテレビカメラの前で
自慢げに披露する人たちを目にするにつけ、
羨望の気持ちなどなく、石油が枯渇したらどうするんだろうと、
憐憫の情すら湧いてきます。

なぜならば、あのような金満はけっして長く続かないどころか、
ひとたびおちぶれたが最後、
その後にはその国とその民族に、末代まで悲惨な運命が待っていることは、
歴史が証明しているからです。

例を挙げれば枚挙にいとまがありませんが、
まずは現代においてそうした問題を切実に抱える
「ナウル共和国」を見てみましょう。

ナウル共和国とは、日本人にはあまり馴染みのない国かもしれません。
オーストラリアとハワイの間、太平洋の南西部にある21平方kmしかない
小島にある共和国であり、バチカン市国、モナコ公国に次いで
世界で三番目に小さい国です。

そこに住む人々は古来、漁業と農業に従事して
貧しくもつつましく生きることのできる“地上の楽園”でした。

しかし、1888年にドイツの植民地になってまもなく、
この島全体がリン鉱石でできていることが判明しました。

リン鉱石とは、数千年、数万年にわたって積もった海鳥のフンが、
珊瑚の石灰分と結びついてできたもの(グアノ)で、
肥料としてたいへん貴重なものでしたから、植民地となった
19世紀後半から採掘が始まりました。

1968年にようやく独立を達成するに伴って、
リン鉱石採掘による莫大な収入がナウル国民に還元されるようになります。
その結果、1980年代には国民1人当たりのGNP(国民総生産)は
2万ドルにものぼり、それは当時の日本(9,900ドル)の約2倍、
アメリカ合衆国(1万3,500ドル)の約1.5倍という
世界でもトップレベルの金満国家に生まれ変わったのです。

医療費もタダ、学費もタダ、水道・光熱費はもちろん税金までタダ。
そのうえ生活費まで支給され、新婚には一軒家まで進呈され、
リン鉱石採掘などの労働すらもすべて外国人労働者に任せっきりとなり、
国民はまったく働かなくても生きていけるようになりました。

その結果、国民は公務員(10%)と無職(90%)だけとなり、
「毎日が日曜日」という“夢のような時代”が30年ほど続くことになりました。

・・さんは、これが羨ましいと思われますか?

詳しくは
   ↓
https://matome.naver.jp/odai/2133740754006424601

ここで多くの人が勘違いする事実があります。
それは、「地下資源など、最初からそこにあるもの」は
“ほんとうの富”ではないということです。
富でないどころか、それは手を出したが最後、
亡びの道へとまっしぐらとなる“禁断の果実”です。

しかし、こうした自堕落な生活は、
その民族の精神を骨の髄まで腐らせていきます。

人間というものは、ひとたび不労所得や贅沢を覚えたが最後、
「額に汗して働く、貧しくともつつましやかな生活」に
二度と戻ることができなくなります。

このような事例は歴史を振り返ると、多くの国で起こっています。

古代ローマ帝国しかり、スペインしかりです。

“ほんとうの富”とは「額に汗して自ら生み出した富」だけで、
「最初からある富」から不労所得を得るだけの繁栄は、
一見“楽園”にみえて、そのじつ“地獄の入口”にすぎません。
それで得た繁栄が過ぎ去った後、
“神罰”が下ったかのように、その国その民族を
子々孫々にわたって苦しめることになるからです。

ナウル共和国では、働かなくても食べていけるようになった生活が
30年にもおよんだため、全国民の90%が肥満、30%が糖尿病という
「世界一の肥満&糖尿病大国」になりました。

そればかりか、精神まで蝕まれて、勤労意欲が消え失せます。
すでに20年も前からグアノ(リン鉱石)が枯渇するだろうと予測されていたのに、
ナウルの人々は何ひとつ対策も立てず、
努力もせず、ただ日々を自堕落に生きていくことしかできない民族と
なっていったのでした。
もはや二度と「“古き佳きナウル”に戻ることができなくなった」という事実です。

 いざグアノが枯渇したとき、彼らが考えたことは
「どうやったらこれからも働かずに食っていけるだろうか?」でした。

国ごとマネーロンダリングの魔窟となり、
世界中の汚れたカネで荒稼ぎをしたり
テロリストへのパスポートを濫発して裏金を稼いだり、
それもアメリカから圧力がかかると、
今度は舌先三寸でオーストラリアから、
中国から、台湾から、日本から資金援助を引き出すのです。

ナウル人が額に汗して働くことはこれからもないのでしょうか。

よく「日本には地下資源がない」と嘆く言葉を聞きますが、
日本に地下資源がなくて本当によかったのかもしれません。

地下資源がないからこそ、それを補うために頭を悩ませて創意工夫し
額に汗して勤勉に働いて富を生み出して国を維持してきました。
そうした厳しい歴史を歩んできたからこそ、日本人は洗練され、
世界にも誇れる国のひとつとして繁栄することができたのです。

なまじ豊富な地下資源などあったら、
それに頼って怠けることを覚え、諸外国からその富を虎視眈々と狙われ、
他のアジア諸国同様、日本も19世紀に植民地とされ、
亡びていたかもしれません。

今回、サウジアラビアの国王が
御自ら出向いてまで日本にやってきたのは、
こうしたことへの危機感からです。

21世紀に入って以降、石油に頼らない新エネルギーの開発が
急速に進んでいます。
遠からず石油に頼らなくてもエネルギーがまかなえる
時代が到来するでしょう。

そうなってしまう前に対策を立てておかなければ、
サウジもナウルの二の舞となることは火を見るより明らかです。

そこで今回、石油だけに頼る経済体制から脱却するべく、
日本に経済協力を要請するためにやってきたのです。

2014年に石油価格が急激に下落したので、
現在は以前ほど大儲けできていない現状があるとはいうものの、
今までのサウジアラビアは石油からの莫大な利益のもとに、
それを国民に還元することで王族が政治を独占してきました。

国民は税金を収めることも、
政府から社会保険料を求められることもなかったので
国民が政治的権利を求めることはありませんでした。

つまりサウジアラビアはこれまで「課税なくして代表なし」が
成立している数少ない国だったのです。

しかし、昨今、高福祉政策を実現することができなくなってしまいました。

そのため、今のままいけば手厚い社会保障が実行不可能になり、
それとともに、王族による政治権力独占が危うくなります。

それはさらに宮廷闘争を引き起こします。

サウジアラビアには皇太子と副皇太子がいますが、
慣例では皇太子や副皇太子は現国王の兄弟が選ばれてきました。

しかし、サルマン国王は副皇太子に自分の息子の
ムハンマド・ビン・サルマーンを指名しました。

これには王族の長老格は反発します。

さて、ここでサルマン国王とその息子の副皇太子は
自分たちの権力基盤を盤石なものにするために、
この危機的状況を利用し権力の確保に努めるようになるのです。

「vision 2030」と題された石油依存から脱却するための
経済政策を打ち立てたのです。

この計画の内容は簡単に言ってしまえば、
今までの石油に依存した経済体制から
金融立国へ転換することを目的としています。

「vision 2030」がうまくいけばサウジアラビアの経済は
建て直されますし、王国の経済体制は石油価格が崩壊しても
被害は少ないものになります。

そして、この計画を先導するのが現国王の息子である副皇太子なのです。

つまり「vison 2030」の成功は経済体制の変革だけでなく、
この功を持って現国王は最大の目的である息子への
王位継承を確かなものにすると考えられます。

そして、サウジアラビア国王来日の隠れた第2の理由は安全保障で、
それはIS(イスラム国)やイランの核開発問題です。
これにはイスラム教の教義が大きく関わっているのですが、
この説明を始めると長くなるので、今回は割愛しますね。

45万円のイヤホンと漫画の話

会社を経営している以上、自社の商品やサービスに
価格を決めるという場面に誰しも遭遇します。

安くすれば利益が少ない、
高くすれば売れるかどうかわからない。

そういうジレンマの中で、価格を決めることに悩まれていると思います。
価格はその提供する価値の値段ですが、価値の感じ方は人それぞれです。
であれば、その価値を感じてくれる人は誰かを考える必要があります。

つまり、対象とする顧客は誰なのか、ということです。

日経ビジネス2月13日号特集「凄い値付け」の記事が出ていましたので、
ご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、

希少な木を使った4320万円のテーブル、
30万円のウォークマン・・・。

価格だけ聞くとびっくりしますよね。

これらは、綿密に考えたうえで販売価格を決めているのですが、
これらの企業が凄いのは値付けだけでなく、
市場に受け入れられるために売り方も工夫していることです。

さらには、新しい市場価値を作り出すことにも取り組んでいるのです。
 

まずご紹介するのは、エスネクスト(神奈川県川崎市)です。

45万円のイヤホン「LABII」を200本限定で売り出したところ、
即完売となりました。

さんは、信じられますか?

イヤホンは2000円くらい出せば、必要十分な性能の商品が手に入ります。
「LABII」はそれより200倍以上も高いのですが、
想定を上回る反響だったので、現在追加生産を検討しているそうです。

一体どんな人が買うの?

そう思いますよね。

まず、どんな構造になっているかというと、
NTTデータと技術提携し、
三次元CAD技術で高い精度の駆動部を作り、
ケーブルはスーパーコンピューターのデータ伝送にも使われる
素材を採用しているそうです。

つまり、不要な振動を抑えられる形状としたことにより、
臨場感ある音楽再生ができるようになった。

と、いうことのようです。

詳しくはこちらでご確認ください。
http://final-audio-design.com/archives/4952

で、先の話にもどって、この価値を感じる人は誰かということです。

それは、音楽好きの人。
それも、半端じゃない音楽好きな人なんですって。

たとえ20万円の月収しかなくても買いたいと思ってくれる
音楽好きな人を狙ったそうです。

高額商品なので「富裕層を狙った販売戦略」を立てているのかと思いきや、
あえて富裕層は狙っていないとのこと。

音楽好きに狙いを定めれば、
巨額な広告宣伝費をかけることなく、確実に欲しい人だけに届けられます。

マーケティングに力を入れない代わりに、
一方では、顧客と対話する時間を大切にしたと言います。

同社は工場内にショールームを設置しました。
その場所は川崎の武蔵小杉駅から徒歩20分ほどかかります。

わざわざ来てくれた見込み客なので、
じっくりと好きな音を納得いくまで聞いてもらうという戦略です。

こんな不便な場所に冷やかしの方は来られない。
そう判断してスタッフは何時間でも試聴に付き合うことがあるそうです。

販路開拓も高級オーディオを扱う専門店の担当者に的を絞り、
気に入ってもらえた店とだけ取引する営業手法を採用しています。

販売員の頭のなかには、見込み客が数人浮かんでいることが多く、
彼らに丁寧に説明すれば売れると判断しています。

凄い値付けの裏には緻密なこんな販売戦略があったようですよ。

エスネクストのように対象顧客がはっきりすれば、
営業にかける人員も最小限で済みます。

人員に限りがある中小企業でも
大手と対等に張り合える戦術といえそうです。

さて、つぎにご紹介するのは、視点を変えるというお話です。

日本の漫画は世界中で人気がありますが、
国内の漫画市場は15年ほど前まで5000億円ほどあったものの、
年々縮小傾向にあるようです。

そのため、販売先を海外に移すという発想です。

それを実践するのが、アニメなどのコンテンツ管理や
配信を手がけるダブルエル(東京・品川)です。
http://doublel.co.jp/

ただ、販売を海外に移すということではなく、
販売するものを選び、
収入が減っている漫画家に新しい稼ぎ方を提案しています。

それは、海外の原作を元に、日本人の漫画家が描くというモデルです。
現地で人気がある原作を日本人の漫画家が描く!

漫画家がアイデアを考えても、ヒットする確率は不透明です。
しかも海外となると好みが異なり、
成功のハードルはさらにあがってしまいます。
その点、原作があれば大きくはずしてしまうことは少ないですね。

このモデルでダブルエルが目指すもう一つの取組みは、
漫画家の収入の安定です。

漫画家はヒット作品を生み出せば高額な報酬を得られますが、
ヒット作に恵まれないと収入がないといったように安定性に欠けていました。

先に書いたように、日本国内では年々縮小傾向にあり、
漫画家が活躍できる場が減っています。

ダブルエルによると、漫画家に支払う単価も下落する一方だそうです。
デジタル配信で作品を公開する場は増えていますが、
漫画家として生活できる人はひと握りしかいません。

しかし、日本の漫画家は売れっ子でなくても技術力が高いといいます。

週刊誌の連載のように、何週にもわたって飽きさせない
ストーリーを考える能力はほかの国の漫画家と比べて非常に長けています。

昨今、海外での日本のアニメや漫画の需要は非常に大きく、
その流れの中で、漫画家の業務を分解して強みだけ残したことで、
新しい市場を開拓しようとしています。

日本での仕事よりも海外向けの漫画を描くことで、
高い報酬を払える。

そうすると、仕事量が一定になり、収入がぶれなくなります。 

海外で人気のストーリーを日本の漫画家が描いて輸出する。
面白い発想です。

この2つのケースのように、戦う土俵を変えることで、
従来とは異なる市場に挑めます。

既存の顧客層と異なり、収益も確保しやすい
一石二鳥の環境が整う可能性があります。

とは、いうものの、土俵を変えるには大きな決断が不可欠です。
競争相手が多く収益が厳しいとはいえども、
一定の需要を捨てる勇気が持てるかどうかです。

価格設定を大きく変えれば、
対象顧客をがらりと変えられます。

リスクとメリット!

この変化対応力は、イヤホンや漫画に限らず、
多くの業界で求められている発想ではないでしょうか。

陸に上がってきた牡蠣

寒い冬の、代表的な食べ物に「牡蠣(カキ)」があります。
しかし、牡蠣はあたると怖いですね。

私は、2回あたったので、牡蠣は好んでは食べません。

ですが、あたらなくておいしい牡蠣があったらどうでしょうか?
そして、1年中安定的に食べられるとしたらどうでしょうか?

各分野で、食物を自給自足できたらという研究が進んでいますが、
今日は、陸でカキや魚を養殖するという話題をお届けします。

沖縄本島から約100km西方にある沖縄の久米島。
エメラルドグリーンの海に面する沿岸部に立てられたプレハブ小屋で、
世界初となるカキの完全陸上養殖プロジェクトが進められています。

目指すのは、生で食べても「食あたりしない」カキの大量生産です。

そもそも、カキがなぜ、食あたりを引き起こすのかというと、
原因は養殖で使う海水の汚染にあります。

そのため、陸の近くで養殖しているカキは、絶対加熱しなければなりません。
生食可能なカキは、陸上から遠く離れたところで養殖しているものとされています。

カキは1時間で20リットルもの海水を吸い、
吐き出す時に水中の栄養分を体内に取り込むという仕組みです。
これを繰り返す過程で、海水に含まれるウイルスがカキの内臓などに蓄積していきます。
こうして育ったカキを十分に加熱せずに食べると、食あたりになることがあります。

ならば、汚染と隔絶した「陸上」でカキを育てればいい。

そう考えたのは、全国で33店舗のオイスターバーを運営する
ゼネラル・オイスター(東京都中央区)でした。

そして目を付けたのが、久米島の「海洋深層水」でした。
 

海洋深層水には、ウイルスや細菌などがほとんど含まれません。
カキの産卵から直径約5mm~4cmの稚貝、
そして直径6cm以上の成貝に育てるまで、
全てのプロセスで海洋深層水を使えば、ウイルスに汚染されることはありません。

沖縄県では産業振興を目的に久米島の水深約600mの海底にパイプを設置し、
2000年から海洋深層水のくみ上げを始めており、
希望する企業に有償で提供しています。

そこで、ゼネラル・オイスターの吉田社長は、
2012年に久米島の陸上に養殖実験プラントを立ち上げ、
研究開発に乗り出しました。

課題はカキの「餌」でした。

カキを大きく育てるには、大量の植物プランクトンを
継続的に与える必要があるのですが、
日光が届かない深海では植物プランクトンが育たないのだそうです。

そこで、次に着手したのが、くみ上げた海洋深層水の中で
植物プランクトンを大量に培養する技術の開発でした。

海洋深層水には、もともと植物の成長に必要な窒素やリンといった
栄養分が多く含まれています。
そこに、光の強さや水温などを変えることにより、
植物プランクトンの光合成を促進させ、急速に培養する技術を確立したのです。

ゼネラル・オイスターの子会社で養殖プラントを運営している
ジーオー・ファーム(沖縄県久米島町)では、
海洋深層水1ミリリットル当たりの植物プランクトンの数を、
1週間で200万匹程度に増やせるようになったそうです。

喜んでばかりはいられません。
植物プランクトンの量をただ増やせばいいというわけではなく、
未消化の餌は水の汚染につながるため、次の取組みが必要になってきます。

カキは成長段階によって好むプランクトンの種類が変わるため、
カキの排せつ物を詳細に分析し、最適な餌の量と組み合わせを突き止めたそうです。
「カキの成長を促進する餌の大量培養技術」を見つけたことで、
他社は簡単にはまねできないと言います。

カキは通常、出荷までに2年を要するのですが、
これを1年以内に短縮して、生産コストも下げていき、
「2020年に年数百万個を出荷できる養殖設備にしたい」というのが、
これからの目標だそうです。

現在、カキ以外でも多くの挑戦が行われています。
次は、マダイやマハタの養殖に取り組んでいる、
工業用バルブ大手のキッツの紹介です。

海から100km以上離れた長野県茅野市にある
バルブ工場の敷地内に、昨年、独自開発した陸上養殖システムを設置しました。

通常、海上養殖では「いけす」を使っていますが、
赤潮や台風などの自然災害、
水質汚染によって魚介類が被害に遭う恐れがあります。

陸上養殖ではこうしたリスクを回避し安定生産できるうえ、
水温や日照時間の調整などで育成期間の短縮も可能になります。

つまり、自然にゆだねるのではなく、技術革新によって工夫できる余地が、
大きく残されているということです。

活魚の場合、価格の大部分を占めるのが陸上における輸送費です。
売値が浜値の5倍に上るケースも少なくありません。
大都市近郊で陸上養殖を手掛ければ、海上養殖よりも安く、
消費者に魚を届けられます。

新たな発想としては、例えば、
飲食店が入るビルの地下でも構わないし、
地方空港の近くだったら海外にも輸出できます。

いままでの水産業の概念が大きく変わりますよね。

キッツが、陸上養殖に乗り出した狙いは、自社の技術を
新たな事業に生かすことでした。

キッツは、すばらしい水浄化技術を持っています。

きっかけは4年前、陸上養殖業者が、魚の排せつ物に含まれる
アンモニアの処理に悩んでいると聞いたことでした。

水槽内にアンモニアが増えると、病原菌の発生リスクが高まります。
一方、バクテリアを使った従来型の生物処理では、
バクテリアだけでなく、有害な他の細菌も増殖する恐れがあるため、
キッツが培ってきた水浄化技術を応用できないかと考えたのです。

有毒物質を排出せずに化学的にアンモニアを分解し、
同時に水槽内を脱臭・殺菌する装置を開発し、特許を取得しました。

さらに、魚が空腹になるタイミングで自動的に給餌する装置や、
水中の酸素量などを管理する仕組みなども考案し、
成魚まで陸上で一貫して養殖できるシステムを作り上げたのです。

最大の特徴はコンパクトさです。
陸上養殖システムはビルの一室にも設置できる大きさです。

キッツは、実際に魚を育てながら養殖の知見を蓄積しており、
今後は水槽の大きさや水浄化装置の数など、
魚種ごとに特化したシステムを開発する計画です。

陸上養殖は別の観点からも脚光を浴びています。
遺伝子情報を自由に書き換えられる「ゲノム編集」技術です。

この研究により、肉付きの良い魚を生み出したり、
アレルギー反応が出にくいエビやカニを、
生み出すことも不可能ではないそうです。

陸上養殖を契機にゲノム編集が普及すれば、
水産業の生産性は飛躍的に高まる可能性があります。
ゲノム編集の話はまた機会があればすることにしますが、

人類の祖先が陸に上がってから約3億6000万年。
魚介類が“上陸”する日がやってきたということでしょうか。

それにしても、日本の企業はすごいですね。

ボルボが開発する「鍵のない車」

車の好みは多種多様ですし、単に好きと言うだけでなく、
その車を持つ目的も様々です。

でも、もし、駐車している自分の車のトランクを
他人が勝手に開けるということが起こるとしたら・・・。

想像してみてください。

どんな感覚ですか?

でも、そういうことがすでに起こり始めているんです。

そこは、スウェーデン第二の都市、イエーテボリ。

スマホを使ってEC(電子商取引)サイトから日用品を購入。
そのまま車に乗ってしばらく待っていると、
配達員がクルマのトランクを勝手に開け、
注文した荷物をそこに置いて何も言わずに立ち去ったのです。

乗用車大手のボルボ・カーの本社がある街です。

これはボルボが今年の5月に始めた配送サービスで
「イン・カー・デリバリー」と言います。

スウェーデンのベンチャー企業や
北欧最大の物流会社ポストノードなどと共同開発し、
注文した商品を対象区域ならどこでも
クルマのトランクに届けるサービスなのです。

世界で初めてボルボがこのサービスを始めました。

もちろん、運転者が乗っていなくても配達員は勝手にトランクを開けます。
物流会社にとっては再配達の手間が減りますし、
注文した消費者にとってもすぐに受け取れるメリットがあります。

今年10月時点でボルボのユーザー1万人が同サービスに登録しているそうです。

他の自動車メーカーがサービス化にこぎつけられていない理由は簡単。
鍵を持たない配達員がトランクを開けられないからです。

どういう仕組みかというと、
ボルボが他社に先駆けて「デジタルキー」を採用したからです。

専用のアプリケーションが入ったスマホを鍵代わりに使い、
車両のロック解除やエンジンの始動ができるほか、
家族などとの共有機能もあります。

既に一部の車種で採用しており、
配達員に1回限り有効のデジタルキーを発行することで、
トランクを開けることができるようになったそうです。

ボルボは、世界初となる試みで、
2017年に「クルマの物理的な鍵を全廃する」と宣言しています。
オプションで、従来の鍵穴と鍵の方式を選べる予定ですが、
基本的には「鍵なし車」です。

スマホでクルマを操作する・・・!?

「これからはクルマが情報のプラットフォームになる」と、
ボルボの新サービスの担当責任者は話します。

取材によると、デジタルキーの様々な潜在力が見えました。

アイデアは既にあるようで、ヒントは次のようなものです。

一つは販売店との関係性の変化。
これまで消費者はクルマに不具合が生じた場合、
近くの販売店に自ら足を運んで修理を申し出ていたのが、
デジタルキーがあれば、たとえユーザーが不在でも、
販売店がそれぞれのクルマに出向いて簡単な修理を行ったり、
クルマを整備工場に運ぶこともできます。

デジタルキーがあれば、自分のクルマがどんな状況か瞬時に分かる
カーシェアリングへの転用も考えられます。

あるいは、自分が持つクルマをカーシェアリングする場合でも、
鍵の受け渡しをすることなくスムーズに貸し出すことができます。

アプリを使えば、クルマがどこにいて、誰が何回ロックを解除したか、
どれくらいの距離を走ったのかを瞬時に確認することができるので、
貸し出している側も安心できるということのようです。

ボルボは今年8月、米ウーバー・テクノロジーズと
自動運転車の開発で提携しました。

これは、自動運転とシェアリングを組み合わせるビジネスが
ボルボの視野に入っていると思われます。

鍵の全廃だけでなく、クルマをECサイトで買えるようにしたり、
あえて部品メーカーと自動運転ソフトウェア開発の合弁会社を
立ち上げたりするなど、近年のボルボは我が道を行く、
というようなかんじです。

では、小規模メーカーなのになぜ投資できるのでしょうか。

ボルボは、2010年に中国の浙江吉利控股集団
(ジーリー・ホールディング)に買収され、
経営の独立性と豊富なチャイナマネーによって
業績は急回復しました。

2015年12月期の年間販売台数は過去最高。
2016年12月期はその記録をさらに更新する見通しです。

とはいえ、年間販売台数は約50万台で、富士重工業やマツダの半分以下です。

環境規制や新技術への対応で自動車各社の研究開発費が増える傾向にあるなか、
なぜ小規模メーカーがここまで独自色を出せるのでしょうか。

5年前、ジーリー傘下に入った後、ボルボは、

「コネクティビティー(接続性)」
「PHV(プラグインハイブリッド車)」
「EV(電気自動車)」
「自動運転」

の、4つに重点分野を絞り込みました。

逆に「やらないこと」も決めました。

高級車の代名詞でもある6気筒や8気筒のエンジン開発をストップし、
4気筒以下だけを開発する方針にしたのです。

トヨタ自動車やホンダが次世代エコカーとして位置付ける
FCV(燃料電池車)を開発しないことも決めました。

車種も基本的には「90シリーズ」「60シリーズ」「40シリーズ」の
3つのカテゴリーだけに絞り込んでいます。

こうした選択と集中が、小規模メーカーながら
ボルボが効率的な投資で我道を進むことができる理由のようです。

鍵の全廃は、「尖った取り組み」を声高に宣言することで
PR効果を大きくするという、
マーケティング的な要素もあることでしょう。

実際には、まだまだ研究途上ですので、
鍵とデジタルキーが併存する状態が長く続く可能性は高いと思われます。
それでも、選択と集中によるぶれない戦略は、
小規模メーカーの生き残り方のヒントとなるに違いありません。

鍵のない車が、普通に街の中を走り出したら
どんな風景になるのかなぁと、デジタル人間じゃない私の脳みそでは
不安が先に来てしまいます。

こんな記事を書きながら、マイナス思考でごめんなさい。

関西ペイントの「命を救う塗料」アフリカで開花

塗料についてどんなイメージを持たれていますか。

きれいな色を塗る素材というイメージではないでしょうか。

そうですよね、
「命を救う」というイメージを持つ人は少ないと思います。

ところが、そんな塗料があるのです。

南アフリカ共和国の最大の都市、ヨハネスブルクの外れの
古い教会の敷地内に、ホスピスがあります。
「セントフランシス・ケアセンター」といい、
末期がんやエイズウイルス(HIV)感染者など、余命の限られた患者を対象に、
終末医療を施すホスピスです。

身寄りのない幼児30人を含む約60人の患者が生活していますが、
多くの患者が、ここで最期を迎えるそうです。

そんな施設で今、ある小さな “奇跡”が起きています。

今年2月にホスピスに入院したミシェル・ハメレさん(仮名、18歳)。
当時既にHIVに感染しており、発症こそしてはいないものの、
免疫力は低下の一途をたどっていました。

入院時の体重は31kg、身長は約130cm。
年齢の割に明らかに身長も体重も小さく、咳も止まりませんでした。

通常の患者なら、そのまま衰弱し、やがて病気を発症して亡くなっていくといいます。
ところが、ハメレさんのケースはこれに当てはまりませんでした。

ホスピスでの生活が始まると、彼女の体調は劇的に変わり、
日を追うごとに、健康状態が回復。
顔色もよくなり、食欲も出るようになったそうです。
入院から8カ月後には体重が52kgにまで増加し、
止まらなかった咳もほとんど出なくなりました。

回復の理由は、もちろん看護士が施した的確な治療の効果ではありますが、
当の看護士は「治療以外にも理由がある」と言い、棟内の壁を指差しました。

実は、ホスピス内にはウイルスを不活性化する特殊な塗料が塗られていました。
「塗料を塗って以降、多くの患者の体調が改善している」と、
ホスピスの代表を務めるシンシア・ディックス氏は言います。

特殊塗料には、日本のしっくいに使われる消石灰成分が含まれています。
塗ると、表面に無数の微細な孔ができます。
そこにウイルスが吸着すると、細孔内部の高アルカリ状態が、
ウイルスを不活性化させます。
細菌や臭いの成分やカビなども同様の仕組みで細孔に閉じ込め、
最後は殺してしまいます。

つまり、特殊塗料を塗った部屋は、通常よりも
バクテリアやウイルスを劇的に少なくできるということです。

免疫力が低下したエイズ患者は、
通常なら害のない種類のウイルスやカビであっても、
病気を発症する可能性があります。
彼らにとって、無菌に近い環境は、それだけで延命効果につながるのです。

HIV感染者の生活を劇的に改善し、
失われていたかも知れない命を救った特殊塗料。

これを開発したのは、塗料大手の関西ペイントなのです。

日本では、「アレスシックイ」という名称で2008年に発売しています。

自然素材として古くから用いられてきたしっくいの機能を組み込み、
住宅やオフィス向けの高付加価値塗料を展開しています。

一度塗ると、効果は7~8年ほど持続し、
高級ホテルや高級列車の車内などにも使われているそうです。

当初、関西ペイントは、しっくい塗料の訴求点として
消臭やカビ防止効果を掲げていましたが、
その後の研究によって塗料がそれ以上の効能を持つことを発見したのです。

科学的に検証するため、2015年に長崎大学熱帯医学研究所と提携し、
ウイルスやバクテリアへの効果について実験を重ねてきました。

結論は、関西ペイントの予想を超えるものでした。
HIVのほか、エボラウイルス、鳥インフルエンザウイルスなどにも
効果があることが分かったのです。

長崎大学との検証結果を受けて、関西ペイントはしっくい塗料の
新たな販路開拓として、アフリカを代表とする新興国への展開を
進めていました。

具体的には、社会問題となっているHIVやエボラウイルスなどの感染症に対して、
塗料を使った予防策を政府関係者などに提案していたのです。

この計画を大きく後押ししたのが、冒頭のホスピスでの成果でした。

昨年、南アフリカ日本大使館から
「しっくい塗料をホスピスに塗っていただけませんか」と
関西ペイントに依頼が舞い込みました。

関西ペイントにとっては、実際の効果を調べるには願ってもない機会でした。

塗装のあと、湿気を吸収しているからなのか、
塗料を塗った部屋は一様に涼しいそうです。
施設には特有の陰鬱した雰囲気はあまりなく、むしろ清潔で明るい印象を持ち、
日差しを浴び、笑みを浮かべながら佇む患者の姿が見られるそうです。

世話役の看護士からも、塗料の効果を実感する声を多くあがっています。
彼女たちは「患者の体調は目に見えて改善している」と口を揃えます。

もともと関西ペイントは、自動車向け塗料がメインで、
消費者向けの建築用塗料での存在は小さかったのですが、
海外市場拡大を目指し、建築向け塗料ビジネスを強化していたのです。

これは大きなチャンスですが、課題もあります。
一つは、しっくい塗料の効能を、
より科学的に検証していく必要があるということです。
看護士の証言は確かに有益なのですが、現状は主観の域を出ないもので、
科学的根拠が検証されたわけではありません。
今後、大学などと共同で効果を検証していきながら、
公的な認証機関からのお墨付きをもらうなど、今後の手続きは無数にあります。

さらに大きなハードルは、アフリカで商品を販売して採算が合うかどうかです。

特殊塗料を現地で調達するための生産拠点に加え、
現地で販路を広げるためのマーケティング費用などを考えると、
コストはかなりかかります。

一方で、アフリカの平均所得は先進国のそれに比べまだまだ低く、
採算を合わせるには相当の工夫が要るということです。

このように、ハードルは高いのですが、
関西ペイントの石野博社長は、関西ペイントの次の100年を支えるためには
欠かせない事業だという想いがあります。

これらの事業が収益として貢献するまでには、10年はかかると見ています。

しかし
この事業展開により
社員のモチベーションが非常に高くなっているそうです。

いままでの、関西ペイントの中心顧客は自動車メーカーでした。
いわゆる、企業向けビジネスで、社員は
自分たちの仕事が消費者にどう貢献しているのかを
実感する機会はあまりありませんでした。

ところが、ホスピスでの活動は従来のビジネスとは異なり、
自分たちの手がけた塗料が、人の命に直接的に貢献していることを実感できます。
社員の目の輝きが変わり、働きがいを高めたという点で
大いにプラスになっていると、幹部役員は言います。

いわゆる「ミレニアル世代」とよばれる若年世代は、
報酬や肩書だけではなく、会社に対して働く意味を求めていると言われています。
「自分の手がけている仕事が、社会の役に立っているのか」。

そう考える人が増える中で、関西ペイントのアフリカでの展開は、
社員に働きがいをもたらす重要な要素になりつつあるようです。

しっくい塗料は、今も改良が続けられています。
今年5月には、壁だけでなく、布などに塗料を塗ることも可能になりました。

この技術を利用すれば、例えば救援テントなどに塗り、
無菌状態に近い簡易手術室などに使えるといいます。

しっくい塗料を始めとした特殊塗料の重要性は
今後さらに高まっていくと思われます。

その意味で、南アフリカのホスピスでつかんだ成果は、
同社のアフリカビジネス拡大のきっかけとなり、
同時に多くの命を救うことでしょう。

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