人の言葉を理解する米IBMの認知型コンピューター「ワトソン」。

米国生まれで母国語は英語ですが猛勉強によって日本語を習得し、
三井住友銀行から「内定」を得ました。

クイズ番組に興じていたワトソン君ですが、
年内にも銀行マンとして日本で働き始めるようです。

三井住友銀行はコールセンターでの問い合わせ対応に
ワトソン君を活用する方針です。

例えば、
「ATMの手数料を知りたいのですが・・・」。
銀行のコールセンターには日々、あいまいな質問が寄せられます。

引き出しの手数料か、振り込みの手数料なのか。
キャッシュカードは自行と他行どちらのものか。
あるいは他行のATMを使う場合か等、
条件によって答えは変わります。

こうしたあいまいな質問にすらすらと答える
次世代型のコールセンターが近々誕生するんですって!

まず、どのように社員教育(?)するかというと、

ワトソン君は利用者が入力した文章を自然言語処理の技術で解釈し、
ビッグデータ分析などの技術によって質問の答えを導き出すので、

三井住友銀行のオペレーターが顧客から受けた質問を
キーボードで入力します。

すると、ワトソン君は5つの回答候補を瞬時に出します。

回答は確からしい順に、その確率を付けて表示します。
オペレーターは候補と確率を参考に、顧客に応答します。

このような、質問から回答を導くために必要な業務内容は、
ワトソン君にあらかじめ読み込ませておきます。

1500項目の質問応答集、表計算ソフトで800シート分の業務マニュアル、
過去の質問応答履歴などです。

さらに正答率を高めるための工夫を盛り込みます。

最たる例が「役立ったボタン」。

顧客への応答が正しかった場合に該当する回答のボタンを押すと、
ワトソン君が「この質問に対する答えとしてはこれが正解だった」と学習します。
この繰り返しで正答率がさらに高まるそうです。

回答を絞り込むためのキーワードも設定できるようにしました。

外貨預金や両替、小切手など様々なジャンルを用意し、
「手数料」という質問にも対象を絞ることで正答率を高められるそうです。

三井住友銀行は2014年9月から12月末までに技術検証を済ませ、
実用化の手応えをつかみました。

検証はワトソン君からすれば、いわば入社試験。

その、入社試験がどうだったかというと、

まず応対スピードをストップウオッチで測定したところ
「人間と五分五分だった」そうで、
未経験の人よりは早いが、熟練の人には負けることもあったという状況です。

正答率はどうかというと、

ワトソン君が選んだ5つの回答の中に正答が含まれていた確率は
当初70%未満でした。

その後「SMBCダイレクト」と「ネットバンク」、
「インターネットバンキング」は同じ意味を示すなど
専門用語を数千項目ほど読み込ませ、
検索時にキーワードを指定できるようにしたら
正答率は80%を超えました。

計画時の予測では70%がいいところかと技術者達は思っていたそうですが、
導入後の学習効果を考えると90%も超えられるのではとの
手応えを感じているそうです。

これが、ワトソン君が銀行の内定をつかんだ瞬間でした。

ワトソン君が入社することで、
経験の浅い人でもベテラン並みのサービスができるなど、
顧客対応の標準化と底上げができると期待されています。

オペレーターにとっても
「膨大な資料を調べなくても答えが得られる」などと評判とのこと。

現在、三井住友銀行は本格導入に向けてシステム環境を整備中で、
完成次第、兵庫県と福岡県のコールセンターで
顧客との実際のやり取りに使い始めるそうです。

9月に部分導入を始め、来年にも全600席に展開する計画だとか。

今後、三井住友銀行がワトソン君に想定しているのは
銀行のことなら何でも知っている超ベテランのスーパー銀行員!

今後は店舗の職員から事務処理などの質問に答えたり、
法人営業が客先で投資相談に活用したりと、
どんどん構想は広がっているそうです。

将来的なイメージは、融資業務に使うことだそうです。

融資の申し込み情報や信用情報に加えて
膨大な過去の取引データなどを分析し、
職員が融資の可否について判断するための材料を提示する
参謀としてのイメージだとか。

メガバンクでは、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行も
ワトソン君の導入を進めているようです。

ワトソン君を本格導入するには数億円以上かかるとされていますが、
顧客対応などのサービス品質を引き上げたり
人手に頼っていた複雑な業務を効率化したりできるため、
投資以上の効果があるとみられています。

さらに、
銀行員デビューが目前のワトソン君に、
早くも次なる仕事の依頼が舞い込んだようです。

日本郵政の西室泰三社長は2月18日の記者会見で、
かんぽ生命保険の保険金の支払業務にワトソン君を活用すると発表しました。

ワトソン君の国内展開で日本IBMと提携したソフトバンクは、
予備校と組んで学生の成績などから苦手分野を見つけ出すサービスや、
体調がすぐれない時に症状から
診察を受ける必要のある診療科目を指南する
「家庭の医学」のスマートフォンアプリなどの開発を想定しています。

活用範囲が広がるにつれて得意分野も見えてきたようです。
膨大かつ複雑なルールに基づき、
事務処理や質問応答を臨機応変にこなす使い道です。

用途として、役所の窓口業務などが想定できます。
銀行員の次は公務員でしょうか。
名参謀の就職活動は始まったばかりです。