韓国には2001年1月に設立された市民団体で、「韓国納税者連盟」があるそうです。

この韓国納税者連盟は2月6日、国民年金の廃止を求める署名運動を始めました。
http://www.koreatax.org/taxboard/m/refor/sign_new_pension.php

5月から所得税払い戻し申請代行サービスを始め、
1万6000人が120億ウォン(約10.5億円)の税金を払い戻ししてもらう成果を
上げたことで注目を浴びました。

署名は2月17日の正午時点で6万人を超えており、
連盟は、最終的には10万人以上が署名に参加すると見ています。

 

署名運動のホームページには、国民年金に対する不信や不満が書き込まれています。

最も多い不満は、今の高齢者は受給額が多いのに対して、
20~30代が高齢者になる頃の年金受給額はそれまでに積み立てた金額より
少なくなる可能性が高いということです。
このため「積立金を払いたくない」という若者が増えています。

国民年金の保険料は税金と同様に給料から天引きされます。

所得の低い人ほど所得に占める国民年金の負担が大きいのです。
所得が年間約200万円以下の人は所得の9%を、
年間約9000万円以上の人は所得の0.22%を、
国民年金の保険料として毎月納める義務があります。

高所得層は、余裕資金を国民年金に投資して年金として戻してもらう感覚ですが、
低所得層は生活費を削って国民年金を払うしかない状況に追い込まれています。
子供の教育や住宅資金のために借金をするしかないという不満も高くなっています。

65歳になれば、それまでの月平均所得の30~40%が年金として支給されます。
しかし、物価上昇率を考えると低所得層は今の生活も、
老後の生活も相当切り詰めないといけません。

このため、国民年金に加入せず、若い時に少しでも豊かな生活をして、
老後は自分でなんとかした方がいいと反発したくなるのです。

韓国納税者連盟は2月5日に記者会見を開き、次のように主張しました。

「国民年金を廃止してほしい。代わりに、年金保険料を積立金にし、
それに利子をつけて返してもらいたい。
そうなれば、可処分所得が増え、家計負債が軽くなる。
所得が増えて民間消費が伸びるので景気対策にもなる。
国民の老後のためには、経済成長を持続して、ずっと働けるようにすることの方が大事だ」

「朴次期大統領が進めている老人基礎年金だけ残して、国民年金は廃止すべきである。
国内総生産の31.2%、400兆ウォン(約34兆円)に上る国民年金積立金を
加入者に返すべきだ」。  と。

 

 国民年金公団によると、韓国の国民年金資産は2012年11月時点で、
日本(年金積立金管理運用独立行政法人)、ノルウェー、オランダ、
に次いで世界4位の規模の資産を持っています。

 

朴次期大統領の公約である老人基礎年金倍増のために、
国民年金の積立金を使うという構想も、国民の年金不信に火をつけました。

この構想が実現すれば、65歳以上の人は、国民年金に加入していなくても
月10万ウォン(約8500円)の老齢基礎年金がもらえるようになります。
ただし、実現するためには毎年10兆ウォン(約8500億円)以上も
福祉予算を追加する必要があるのです。

国民年金は、若い頃から保険料を支払い、その積立金から支給される。
しかし、老人基礎年金は税金を財源とする公的扶養である。

朴次期大統領の発想は、公約を実現するにあたって歳入が足りないので、
国民年金に手を出すということです。
しかし国民年金の積立金も、2008年国会予算政策処のシミュレーションでは
2053年に底を尽くようです。

それは、出生率が低下し国民年金を払う人が減るからです。
景気の悪化によって年金の運用利回りも悪化します。
国民年金の積立金から老人基礎年金を支給するとなれば、
もっと早い時点で積立金は底を尽くことになります。

そのため国民年金の保険料を払っているものの、
実際に年金をもらえる可能性が低い20~30代は不満を持つのです。

それに国民年金に加入しなくても老人基礎年金が月10万ウォンもらえるのであれば、
国民年金に加入する必要がないことになってしまいます。

年金問題を世代葛藤として感情的にとらえるのではなく、
年金の「不公平」問題として見れば、解決できる部分があるにちがいありません。

若い人が高齢者になる頃にはもらえない、という不安をなくし、
国民年金を安全に運用しているという信頼を取り戻さないといけないのです。

国民年金の積立金は政府が自由に使えるお金ではないことを明確にし、
若い頃に収めた分を老後に確実にもらえるとなれば
国民年金に不満を持つ人はいなくなるでしょう。

朴次期大統領は就任する前から年金問題にぶつかってしまいました。
国民年金の廃止を求める署名運動は、20~30代がなぜ年金に不満を持っているのか、
政府機関が彼らの意見を汲み取り、年金改革を始めるよいきっかけになるかもしれません。

日本も韓国と同じような状況です。
高齢者が増え、若者が減り、且つ雇用状況も厳しく可処分所得も減少しています。

ただ、韓国のように不満を行動に起こすという行動がとられていないだけですが、
政府が真剣にこの問題を考え解決しなければならないということでは
同じだと思います。

と、同時に我々国民の一人ひとりが年金に頼らなくてもよい
自立した人生設計をしていく必要があるのではないでしょうか。