毎日、実にいろいろなニュースがありますが、
今回は、飛行機好きの私が個人的に気になる話題を取り上げてみました。

スカイマークが、A380の購入契約を解除したというものです。
あ、違います。
正確にはエアバスに契約を解除されたというニュースです。

1機目はほとんど完成の状態、2機目も間もなく完成という段階だそうです。

そんなな中、スカイマークがメディアで発表している内容(表現)は、
少し都合よく脚色が入っているように感じています。

現実はどうなのかというと、

そもそも、エアバスがスカイマークとの契約解除に踏み切った発端は、
今年4月に支払う予定だったA380の前払い金8億円分が
未納になったことにあります。
これ以降、エアバスはスカイマークと交渉を重ねましたが、
支払い能力がないと判断してA380の契約解除に踏み切ったのです。

なぜ、そう判断したのか?

1番目は、まず業績の悪化です。
スカイマークが発表した2014年4~6月期の最終損益は57億9500万円の赤字。

売上高は前年同期比1.5%減の181億9400万円でした。
提供座席数は前年同期と比べて8.7%増えたものの、
LCC(格安航空会社)などとの競争が激化し、
旅客単価が下落したことが大きな要因です。

加えて、今年6月から運航を始めたエアバスの中型機「A330」の
導入に伴うコストも増えました。
例えば、航空機材費は前年同期比25.4%増、
運航乗務員の訓練費用は同397%増、整備部品費も同13.3%増となっています。

CAの制服をミニスカートにするという発表もありましたが、
これもかなりの費用がかかっているようです。

二つ目、
スカイマークの経営の特徴の1つが航空機をリースで調達していることにあります。
現在、中型機の「ボーイング737」30機と、
今年から導入を始めたA330が2機の、合計32機で運航しています。
この航空機が、ともすればリース会社に差し押さえられる懸念があるのです。

航空業界では一般的に、リース会社が航空会社に機材を貸し出す際、
契約には「クロスデフォルト条項」を添えることが多いのです。

クロスデフォルト条項とは、債務者が1つの債務に対して
返済を履行せずに債務不履行になった場合、
債務者が抱えるほかの全ての債務についても契約の満期を待つことなく
返済を要求できるというものです。

もう少し分かりやすく言うと、
航空会社が取引先のどこかの会社に対して債務不履行になった場合、
リース会社はそれがたとえ自社の契約でなくても、
リース中の航空機を差し押さえることができるのです。

つまりスカイマークはA380の契約で債務不履行に陥ったということで、
契約の中に「クロスデフォルト条項」が添えられていれば、
リース会社はこの先いつでも飛行機を差し押さえられるということです。

それに加え、スカイマークは現在、20社近くのリース会社から航空機を調達しており、
20社もの会社に交渉をしていくことは時間的にもなかなか難しく、
ある関係者は「少しでも被害を最小限に食い止めるために、
航空機を差し押さえるリース会社が出ても不思議ではない」と明かしています。

仮にリース会社が航空機を差し押さえればどうなるか。

飛行機がなければ、航空会社の経営は途端に立ち行かなくなります。

さらにスカイマークの場合、効率的な機材繰りを強みにしており、
1機当たりの1日の飛行時間は平均6時間55分で、
1日の平均フライトサイクルは実に4.95回です。
逆に言えば、たった1機でも差し押さえられてしまうと、
欠航・運休などの甚大な影響が出るということです。

三つ目
現在のスカイマークの窮状を見た取引先や利用客が
破綻のトリガーを引く懸念があります。

どういうことかというと、仮にスカイマークの信用不安がさらに広がり、
破綻の懸念が深刻化すればどうなるか。

利用客からも何らかのアクションが起こる可能性があります。
中でも怖いのが、既に購入済みの航空券の払い戻しを求めるという、
ある種の“取り付け騒ぎ”です。

日本航空の破綻前の例では、経営難が深刻化した頃から、利用客の間では、
購入済みの航空券やマイレージの“取り付け騒ぎ”が起こり始めました。

幸いなことに、スカイマークにマイレージ制度はないので
JALが破綻前後に経験したようなマイレージの
“取り付け騒ぎ”が起こることはないでしょうが、
航空券の払い戻しを求める利用客が一定数出る可能性はあります。

そして、この払い戻し件数が増えるほどスカイマークの
キャッシュフローは圧迫されていきます。

4つ目
さらに破綻につながりかねない要因が手元資金の乏しさです。
同社の手元資金は今年3月末の時点で約70億円しかありません。

この状況で仮にリース機が差し止められて運賃収入が大幅に減ったり、
航空券の払い戻し件数が増えたりすれば、資金ショートに陥りかねません。

 「当面の運転資金はあるので、さほど危機的な状態ではない」

7月29日、A380の契約解除の会見で、
スカイマークの西久保慎一社長はこう説明しました。

同時に現在は無借金状態であり、仮に今後需要が落ち込んで
金融機関に援助を求めるとしても「借り入れられるだけの枠は持っている」
(西久保社長)とも訴えています。

しかし、それは、スカイマークがこの先何事もなく営業を続けられた場合のこと。
航空機差し押さえや“取り付け騒ぎ”などという不測の事態が起これば
事情は変わります。

先行きが見えない中で、破綻につながりかねない要因をどう排除するか。
難しい舵取りが求められますね。

今回のこの状況を見ながら、改めて経営というものの難しさ、
経営者の状況判断、その時々の決断の重要性を感じました。

アイデアと戦略で右肩上がりだからと言って、
未来永劫うまく進むことはないという戒め。

社会情勢、経済情勢を見極める力、

国際線の運航経験もないのに、
大手航空会社が機材の小型化、中型化による効率化を進めている中で、
世界で一番大きい機材を発注するという傲慢さ。

人間学を学んでいる中で教えられている様々なことの
反面教師を見せて頂いた気がします。