こんにちわ!
グローバルアシストの船曳です!

前回はブータンのお話をさせて頂いたのですが、たくさんの方から「面白かった」と言って頂けてホッとしています。

中でも反響が大きかったのが、「夜這い」のお話でした。

ですが、付け加えておかなくてはいけないこともあり、今回もう1回
ブータンのお話をすることにしました。

前回お話しした「夜這い」の慣習は別にそんなに突飛なことではなくて、
要は村社会ゆえのことなんです。

例えば人口が100人ぐらいしかいない村だったら、
お年ごろの人なんてもう10人ぐらいしかいない、というわけで、
基本的にみんなが知り合いです。

その中で、誰と誰がくっ付くんだろうな、というのが全部見えていると、
そういう話になるんですよね。

この日本の都会を想像してみてください。
知らない人が夜にやって来て、何かされたから結婚か、みたいなこととは、
まったく違う次元の話だということとご理解下さいね。

あと、ブータンでは婚姻関係の縛りもわりとゆるく、結婚と離婚を繰り返す人も多いので、みんな、やたらと親族が多いそうです。

だからブータンでは、一緒に仕事をする人については、
誰と従兄弟だとか、誰の義兄だとか、
そういう親族関係もまず頭に入れておく必要があるようですよ。
大変ですね。

さて、今回お話ししたかったメインは、ブータンの人々の金銭感覚についてです。

ブータンの人たちのメンタリティの底には、
「人生何が起こるか分からないから、今を楽しまなきゃソン」という認識があります。

なので、日本人の金銭感覚からすると、「えっ、そんなに高いものを買って大丈夫?」
ということはしばしばあるようです。

例えば車です。

ティンプーは首都といっても、町の中心に信号が1つくらいしかないのですが、

信号が1つしかない!と聞くと、ひなびた田舎町を想像してしまいますよね。
走っている車も中古がほとんど、というイメージが浮かびますよね……。

ところが実態は全然違うようですよ。
そんな街に、ぴかぴかの新車がけっこう走っている。
トヨタからスズキからヒュンダイまで、新車がけっこう走っています。
数百万円するトヨタのランドクルーザーも走っています。

中流家庭には大型液晶テレビがありますし、
iPhoneのユーザーも珍しくありません。

公務員で月給2万円くらいですが、給料の2ヶ月分くらいするiPhoneを平気で買います。

「なぜiPhoneを買ったの?」と聞くと、
「えー、だって、便利じゃない?」と軽くかえってきます。

収入に見合わない消費をブータンの人々はなぜ気軽にしてしまうんでしょうか。

3つ、大きな理由があります。

1つは、もともと快楽主義的な文化がブータンにはある、ということ。

2つめは、貨幣経済が身近になったのがわりあいと最近である、ということ。

最後に、これもブータンの文化的な側面ですが、あまり先の計画をしないということ。

余談ですが、ブータンの人たちは仕事の予定も、
頭で記憶できる範囲までしか立てないそうで、
政府で働く官僚も含めて、ほとんどの人が手帳もカレンダーも持っていない。

貨幣経済についていうと、
そもそもいまでも貨幣をあまり使わずに暮らせる側面が、
とりわけ地方にはあります。

なぜかというとブータンは今も国民の7割が農業の従事者で、
生活のほとんどが村の中で自給自足できています。

民間の産業的な仕事は観光業くらいしかなく、
少し前までは、本当に、自給自足で農業をしている人たちと、
あとはお役人しかいない、という構造だったのです。

どこかに勤めてお金を稼いで、その稼いだお金で物を買って、
という消費経済のサイクルが生活の中になく、
同時に市場経済がまだメジャーではなく
少し前までのブータンでは、お金を使う場面そのものがなかったようです。

ティンプーでは地方から若い人たちが続々とティンプーに出てきていて、
過去5年で人口が2倍になりました。

つまり、今ティンプーにいる人の半分は代々地方に住んでいて
最近都市部に出てきた人、ということになります。

ティンプーでは経済状況を巡る変化のスピードが速まっていますが、
子どものころから、お金を稼いでモノを買ったり貯金したりという経験がないので、
お金の価値やその裏にあるリスクとかは、
いまひとつ理解されにくいのだと思います。

そんな中、首都ティンプーでは都市化が急速に進み、貨幣経済が広まり出して、
ローンというものが出てきました。

つまり自分が現金を持っていなくても、借金すれば何でも買える。
そうすると、「とりあえずほしいもの、買っていいんじゃない?」
と、思えてしまう。

「これは収入に見合わないんじゃないか」
「何割かは貯金に回した方がいいんじゃないか」といった思考にならないのですね。

ブータンの銀行は、貸し付けの基準や審査がすごく甘いく、
どんどんお金を貸し付けるものだから、借りる方は、
「何だか仕組みは分からないけど、『買える』んだから『買っていいんだ』」
という理解になってしまって、買える財力がないのに買っちゃっている人たちが増えている。

この危うさは、今後どういう形で問題化していく可能性があるかというと、
ブータンという国の舵取りを、ブータンができなくなることです。

たとえば、もし銀行が貸し倒れを起こして、政府もそれを救済できなかったとすると、
国のお金に外資やIMF(国際通貨基金)が入ってくるような場合も出てくるのではないかと。
そうすると、必ずしもブータンの人たちが思う政治ができるとは限らない。

ブータンのバブルは、ブータンの人たちの刹那的なところだとか、
「人生楽しまなくちゃ!」という快楽的なところだとか、
実にブータンの人たちらしい性格から生まれているところも大きいでしょう。

でも、ブータンの人たちがブータンの人たちらしくあり、
ブータンが「幸せの国」であり続けるには、一人ひとりが、
お金について正しく理解し、現実的に向き合えるようになることは
大切なことなのではないかと心配をしてしまいます。

日本人の感覚とは大きく違っていますが、ブータンという国は、
いつまでも国民が幸せだと感じる国でいてほしいですね。

いつか、一度は行ってみたい国です。