今回は、桜というテーマを元に
日本の価値を伝え、高めるものは何か、というブランド戦略の視点に立ち、
日本の観光のブランド化を考えてみようと思います。

もう少し具体的に言うと、
日本が海外に発信している訪日ブランドイメージと、
海外で認識されている訪日ブランドイメージのギャップについて知ることで
改めて日本の観光ブランド戦略のあり方を考えてみたいと思います。

桜といえば日本、日本といえば桜、と思っていませんか。

日本人の多くは、桜は日本の固有の観光資源と思っています。
私も今までそう思っていました。

しかし国土交通政策研究所の調査では、
旅行需要の伸びが著しいシンガポールから
「桜や雪は韓国にもあり、日本に行かなくても見られる」
という結果が出たのです。

韓国の桜について調べてみると、既に日本の旅行社で組んでいました。

パンフレットでは、韓国の鎮海と日本の桜の名所を桜の本数で比較。
ちなみに日本の桜の名所である奈良の吉野山でも3万本。
鎮海はその10倍以上になります。

その他にも、釜山やソウル、慶州など韓国各地の桜の名所が紹介されています。

日本からわざわざ桜を見に行くのはなぜかというと、
韓国の桜はその規模の大きさ、ダイナミックさにあります。

鎮海市には慶和駅の桜並木のほか、
約5.6kmに渡って桜が咲き誇る鎮海屈指のお花見スポット
「安民道路(アンミントロ)」や、
「余佐川(ヨザチョン)」沿いに続く約1.5kmの桜並木。

慶州市は約20万本の桜が街全体を彩る桜の街として知られ、
世界遺産の仏国寺も桜の名所として有名です。

韓国ツアーにしては滞在日数が長いプランもあります。
桜旅情、桜を看板にした4日間のツアーというのは日本であり得るでしょうか。

韓国のインバウンド観光の取り組みは、1997年のアジア通貨危機をきっかけとした
外貨獲得政策に始まります。

桜のツアーがスタートした2009年には韓国は訪韓外客数で日本を抜き、
2012年には日本より1年早く訪韓外客数1000万人を突破し、1114万人に達しました。

日本にない韓国の桜の魅力をいち早く発掘し、
それを魅力的な観光商品として造成し販売するプレイヤーの存在なくして、
観光地の発展成長はありません。

こうして韓国の桜の情報が広く伝わっって行けば、
そのうち「桜といえば韓国」と言われる日が来るかもしれません。

桜は、訪日意欲を喚起するプラスのイメージです。
しかし、お金の落ちない観光資源は地域に騒音とゴミを
もたらすだけになるかもしれません。

どんなに優れた資源でも、それをお金に変える商品化やブランド戦略がなければ
経済効果は限定的なものになります。

日本の現状を見ると、外国人に人気のある東京の桜の名所である
新宿御苑や六義園、小石川後楽園などは公立の庭園です。

新宿御苑は環境省の新宿御苑管理事務所が、六義園や小石川後楽園は
東京都の公益財団法人が管理しています。

各公園ではHPや英語、中国語、フランス語の
パンフレットの作成・配布を行っていますが、
積極的なPRやデーターの把握、ニーズ分析など行っているわけではありません。

また、そもそもこうした公園は「市民の憩いの場」として位置づけられていて、
観光資源として活用するという視点を有していません。

これでは桜という資源は、少なくとも東京においては
日本の春の風物詩の域を出ることはできないでしょう。

「世界の人気観光都市2013」によると、
日本国内でTOP25に入った都市は、15位にランクインした東京だけです。

お薦めスポットとして挙げられたのは「浅草寺」と「東京タワー」と「明治神宮」。

確かにそれぞれ東京を代表する人気観光地ですが、
これが東京という都市を総称し、看板となる資源かというと「?」です。

こうしてみると、日本のイメージは非常に断片的かつチープで、
明確な訪日ブランドイメージがなされているとは言えません。

2020年の東京五輪に向けて、日本の多様さを価値に変えるには、
日本ブランドの確立と新たな観光の可能性、地域の活性化につなげるために、
地域や業種を超えた多様なプレイヤーの
観光業への参加が必要ではないでしょうか。