「テックショップ」って知っていますか?

アメリカで生まれた、市民工房ですが、
オバマ米大統領が「モノ作り復活の象徴」として視察したことでも有名です。

どういうものかというと、
会員になって月125ドル(約1万3000円)を払うと、
3Dプリンターやレーザーカッターなどの機械を自由に使えるというものです。

アメリカには現在8ケ所にありますが、
デトロイトのテックショップは
2012年に、自動車大手の米フォード・モーターが
資金面で相当な協力をして開設されたものです。

フォードにはアイデアをもっと生み出したいという狙いがあり、
同社の開発者たちも会員になっています。

もちろん、フォードと関係ない人たちも利用できます。

敷地の広さは3000平方メートルを超えており、
シリコンバレーなどにある他のテックショップと比べてもかなり広いです。

レーザーカッター、旋盤、小型の射出成型機、塗装ブース、工業用ミシン、
CADソフトを搭載した何台ものパソコン、
ウォータージェット切断機、作業台…など等。

もの作りに興味のある人にとっては、実に魅力的!

ここは、工作スペースと呼ぶよりは、
「町工場の設備を小ぶりにして、いくつもつなげたような空間」という印象です。

設備の種類が多いという点では、自動車メーカーの開発拠点にも似ています。

テックショップのスタッフによれば、デトロイトの工房の場合、
ビジネスで利用する人が約7割、趣味で使う人が約3割とのこと。

では一体、誰がどんなモノを作っているのでしょうか。
ある土曜日の様子から少しご案内しましょう。

マーク・A・マイヤーさん。
彼は子どもが乗って遊ぶカートを作って、販売している個人事業主です。

今年6月にテックショップの会員になったところ、
カート作りに必要な大抵のことがテックショップで出来るようになったそうです。

今まではカートを作るための道具や作業スペースを
その都度借りていたのですが、
テックショップ一本に絞ることで「コストを大幅に減らせたよ」とのこと。

彼は、テックショップでは、
「最新のCADソフトを使えるのが良い」と強調していました。

数人の男性が、シルクスクリーンの技法を使って
Tシャツに好みのイラストを描く体験をしていました。

一方で、中年の女性はチャイナドレスの生地を作業台に広げていて、
「中華風のバッグを作る」とのこと。

男性だけでなく、彼女のような中年女性が
たくさん訪れていたのは新たな発見です。

作業台の隣にはJUKIや蛇の目ミシン工業の高額なミシンが並んでいます。
これらのソーイング機器がテックショップの利用者のすそ野を広げているようです。

さらに移動すると、
より町工場らしいスペースがあり、若い男性が真っ赤な板金を曲げていました。
どうやら車に使われている板金のようですが、テーブルを作っているそうです。

さらに別の部屋に入ると、フォードのEV(電気自動車)が置いてあります。
この部屋は同社のR&D部門の人たちが使うことが多いそうです。

バイクをいじっていた若者がいたので尋ねると、
やはりフォードの従業員で、ザック・ネルソンさんと言います。
ネルソンさんはこの日、1970年代に作られたバイクの改造部品を自作していました。

普段は3Dプリンターも活用しており、
ネルソンさんはドライバーに適切な操作を振動や光で伝える
シフトノブのアイデアを「Open XC」というサイトで提案しています。

発想力を豊かにするうえで、テックショップは非常に役に立っているそうです。

レーザーカッターのブースに戻ると、透明のアクリル板を組み立てている男性が
自宅で使う棚を作っていました。

隣のレーザーカッターを使っていた女性が作っていたのは、
子どもの2歳の誕生日を祝うパズルです。

彼や彼女のように、日々の暮らしの一部としてテックショップを
利用している人もいるようです。

テックショップはある人にとってはホビーやDIYの延長で、
ある人にとってはビジネスの出発点で、
またある人にとっては現実的なコスト削減策でした。

3Dプリンターをきっかけに脚光を浴びたテックショップですが、
使う道具にかかわらず誰もが楽しそうにモノ作りができて、
作りたいモノを形にしていく喜びが伝わってきますね

市民工房を運営するテックショップが近々日本に進出するという
ニュースが流れてきました。

日本での展開で協業する富士通によれば、
「オープンイノベーションを後押しする場を作りたいという思いが一致した」
そうです。

テックショップの日本進出の詳細は、
「形態も含めて協議している最中」(広報)とのこと。

形はどうあれ、日本に根付くかどうかは

「What would you make?」

という問いへの答えを
利用者が持っているかどうかでしょう。

また、アイデア次第では、この施設は中小企業にとって
大きなビジネスチャンスを秘めているかもしれません。

さて、日本ではどのように広がっていくのでしょうね。