今日の話題は少し暗くなりますが、
世界にはこんな一面があるということも知っていただけたらと思い
今回のテーマにしました。

今回登場する国は、ブルガリアです。

ブルガリアと聞いて想像するのは、ヨーグルトや琴欧州でしょうか。

ブルガリアは、正確にはブルガリア共和国といい、
東ヨーロッパの共和制国家です。
バルカン半島に位置しており、南はギリシャやトルコと隣接していて、
黒海に面していると説明すると、地図上のイメージがわくと思います。

7世紀頃にはブルガリア帝国という国家がありましたが、
東ローマ帝国に2度にわたり滅ぼされたり、
14世紀にはオスマン帝国に滅ぼされたりと、
歴史的には非常に辛酸をなめています。

20世紀に入り独立を承認され、ブルガリア王国が成立しました。

近年に入り、いく度かの戦争の後、1944年にソ連の侵攻を受けて、
王政が廃止され共和制が成立したと同時にソ連の衛生国家になりました。

1989年には共産党政権が崩壊し、2001年に元国王が首相に就任。

しかし、ブルガリア経済はこの1989年から劇的に縮小しました。
ソビエト連邦を中心とした東欧の市場を喪失したことが大きな打撃となり、
生活水準は1989年以前の約40%にまで落ち込んだのです。

一時は持ち直したものの、貧弱な経済改革や不安定な銀行システムにより
再び悪化し金融危機にも陥りました。

そして、2007年にEUに加盟しましたが、加盟時にはEU最貧国でした。
加盟後には若年労働者や知識層が高収入を求めて
西欧へ流出することが危惧され、
ブルガリアの国力低下と共に、低賃金労働力が流入することで
西欧諸国との軋轢も拡大しています。

地方自治ですが、ブルガリア国内は28個の州に分けられています。
首都はソフィアですが、実はソフィア州とは異なる独自の州なのです。
ソフィア州の州都はソフィアに置かれているのですが、
ソフィア州はソフィアを含まないという、何ともわかりにくい構造です。

そして、それぞれの州の下には基礎自治体(オプシュティナ)が置かれていて、
これが事実上の最小の行政単位になっています。
日本でいうところの市町村に相当するものです。
それぞれの基礎自治体には選挙で選ばれた市長と市議会が設置されています。

一方、ブルガリアは、長い間の歴史的背景からいろいろな民族が入ってきており、
それらが混ざりあった素晴らしい歴史的建造物や文化がたくさん残っています。
国内には、ユネスコの世界遺産リストに登録された文化遺産が7件、
自然遺産が2件存在しています。

興味がある方は、ぜひ素晴らしい世界遺産を味わってみてください。
      ↓
http://世界遺産ハンター.com/worldheritage/bulgaria/

前置きが長くなりましたが、本日の話題に入ります。

ブルガリアではこの15年間に、貧しいロマ人コミュニティーで
新生児売買が横行するようになっています。
困窮した親が人身売買業者を介して、
養子縁組の法規が緩い隣国ギリシャで自分の赤ちゃんを売っているのです。

少数派で迫害の対象になることも多いロマ人の赤貧状態が
この傾向に拍車を掛けているようです。

実際の記事からの抜粋です。

ブルガリア南東部のさびれた村、
エクザルフ・アンティモボで、ある女性はこう明かしました。

「イリヤナは妊娠中にギリシャに行き、1週間前に帰ってきたよ。
おなかはもう膨らんでいないのに赤ちゃんはいない。
ギリシャで死産したと説明している」。

女性はいかにも事情に通じている様子で声を潜め
「あの人が売ったのはこれで3人目よ」と語った。

この村はブルガス州ブルガス市に程近く、
今世紀に入ってブルガス市のロマ人貧民街で始まったとされる新生児の売買は、
ブルガリア東部のバルナ、アイトス、カルノバト、
南東部のスリベン、また中部のカザンラクへと広がっていいます。

ブルガリア検察当局が捜査した新生児の売買事件は昨年だけで27件。
これらの事件では合わせて妊婦31人がギリシャに送られ
新生児33人が売買されたということです。

エクザルフ・アンティモボのロマ人村長サシュコ・イワノフ氏は、
「住民の97%は読み書きができない」とため息をつきます。
新生児の売り渡しは
「社会から最も取り残された層だけでみられる極端な事例」であり、
「貧困の極みに置かれたからこそ新生児が売られてきたのであり、
またこれからも売られていく」と指摘しています。

新生児を売り渡した母親には、新生児1人につき
3500~7000レバ(約22万~44万円)が支払われます。

仲介業者の取り分に比べればわずかな額ですが、
それでもブルガリアの平均月給が
400ユーロ(約5万円)であることを考えれば大金です。

一方、ギリシャの法規制も問題を悪化させているようです。

母親が公証人の面前でこの家族に自分の子どもを渡すという
意思を表明しただけで養子縁組が成立してしまうのです。
ただし、そこに(表向きに)金銭のやりとりが発生すれば違法となりますが。

人身売買がブルガリアで一大ビジネスとなっていることは
公式統計からもわかるようです。
欧州連合(EU)はブルガリアの司法制度の弱さと
まん延する腐敗を繰り返し批判していますが、
今のところ解決は難しそうです。

米国務省は2015年版の人身売買に関する報告書で、
「ブルガリアは依然としてEUにおける人身売買の最大の供給源の
一つとなっている」と指摘しています。

司法の機能不全を目の当たりにした幼稚園園長の
マリア・イバノバさんは非政府組織(NGO)の
ラブノベーシエと協力して、乳児売買禁止を訴える草の根運動に着手しました。

ところが、園児の母親らと直接この問題について話し合おうとしたところ
「敵意をむき出しにして」反発を受けたそうです。
現在は地元の園児や児童向けの啓発活動を行い
「きょうだいが売られることは異常なこと」だと教えているそうです。

ブレスレットやシールを配り、ロマ人の園児らの多くがそれを身に着けているといいます。
そこには「わたしは売り物じゃない」というメッセージが記されています。

日本は、なんと平和な国だろうと、
改めて感じるのは私だけではないでしょう。

最後に、ブルガリアの習慣では、
「はい」の意思表示として首を横に振り、「いいえ」として首を縦に振ります。

近年首振りを国際標準に改めようという動きがありますが、
ブルガリアを訪問されるときは、紛らわしいので気を付けて下さいね。