アフリカで環境衛生ビジネスに乗り出したのが、 手洗い用のせっけん液やアルコール消毒液などを開発・販売するサラヤです。

開発途上国では現在、衛生環境が原因で、5歳未満の子供が年間880万人死亡しており、 せっけんによる手洗いによって約100万人の命が救われると言われています。

病院での院内感染や術後の感染症による死亡例も多く、 衛生環境の改善が課題となっているのです。

サラヤのアフリカ進出のきっかけは、国連が「国際衛生年」と定めた2008年。 国連は、10月15日を「国際手洗いの日」と定め、ユニセフ(国連児童基金)を中心に、 各国で衛生習慣を広めるプロジェクトを進めていました。 同社はこれに同調し、販売する衛生商品の売上の1%を 日本ユニセフ協会を通じて寄付し、 ユニセフがウガンダで展開する手洗いの普及活動を 支援する「100万人の手洗いプロジェクト」を開始しました。

そして、寄付の金額目標を3年間で3000億円としました。

同社はこの活動を、寄付活動だけにとどまるつもりはありませんでした。 アフリカにおけるビジネスにつなげたいという考えが当初からあったのです。

ただ、アフリカといっても国によって様子はさまざまです。 治安が悪かったり政治リスクを抱えている国も多く、 電気や水道などの生活インフラが整っていないところもあります。

そうした情報をもたない状態で現地に参入するのはリスクが大きすぎます。 そこで同社は、ユニセフなどの国際機関を「味方につける」戦略をとったのです。

ユニセフや現地NGOのスタッフの支援を受け、実際にウガンダの村落や学校に出向いて、 石けんを使った正しい手洗いの方法を教えて回る活動を開始しました。 更家悠介社長を先頭としたサラヤ社員のプロジェクトチームが、 手洗いの普及活動をしながら現地の学校、病院、自治体などに サラヤの消毒液を紹介していったのです。

ただし、アフリカで活動を始めた当初から、ビジネスにつながる アイデアがあったわけではありません。 手洗い支援活動を続けながら、ビジネス化のアイデアを模索していったのです。

そんな中、同社マーケティング本部の代島裕世本部長が現地に入って気付いたのが、 ウガンダでは酒類の販売が盛んだったことです。 現地の人もよく酒を飲みます。 調べてみると、アルコールを生産するための蒸留技術を持つ企業が ウガンダにあることがわかりました。

代島本部長の頭に、消毒液用のアルコールを現地で作り、 医療現場向けに販売するアイデアが浮かんだのです。 国内で販売している消毒液はコストが高く、ウガンダでの販売は断念していました。

しかし、現地で低コストに消毒液が作れるとなればビジネスとして成立します。 病院などの医療現場を対象にすれば、定期的な売り上げが見込めると判断しました。 販売先となる医療現場は手洗い活動で培った人脈を活用できます。

そこで、2011年5月、ウガンダに現地法人「サラヤ・イースト・アフリカ」を設立して 事業化の準備を整えたのです。

今年中に、現地の大手砂糖製造メーカー「カキラ・シュガー」と共同で、 消毒用アルコールの製造工場を設立する予定です。

代島部長は、「ライバルがいない今こそ参入のチャンス。 『手洗いはサラヤ』と言われるくらいにしたい」と意気込んでいます。 2015年度までに黒字化を目指す計画だそうです。