M&Aの背景
M&Aという言葉は、英語のMerger(合併)&、Acquisition(買収)の略です。
日本でも戦前から見られたものの、かつては「会社乗っ取り」といったマイナスのイメージで捉えられているところがありました。
しかし、一般的なM&Aの手法には、株式譲渡、株式交換、合併、事業譲渡、新株発行、会社分割など、様々な方法があり、1980年代頃から日本企業にも次第に波及し、M&Aに対する意識は大きく変わってきています。
1985年から2006年にかけて爆発的に件数が伸びているのですが、それには多くの社会の背景があります。
バブル崩壊後の不良債権処理やグローバル化によるグループ会社の再編や事業の集中化が求められ、広い意味でのリストラが必要になり、そのためにM&Aが有効だと気づいたためでしょう。また銀行の不良債権処理のインパクトや、海外からの投資動向も影響を与えていることと思われます。
しかし、2007年以降、M&Aの件数は大幅に下落しています。
これは、2007年のサブプライムローン問題の影響、リーマン破綻をきっかけとする金融危機で、ファンドの解約が急増していることや業界の再編が進んだこと、世界的な景気後退で対外投資が減ったことが原因として考えられます。
買収のリスク
買収はターゲット探しから始まって、交渉、調査、契約、統合といったプロセスを踏んでいきますが、いたるところに問題が出てきてなかなか思い通りには進みません。
いざ買収してみたらあまり儲かるビジネスではなかったとか、期待していた効果があまりなかったとか、思わぬ隠れ債務があったとかいう、見込み違いの問題が発生することがあります。さらに、統合過程で人材が流出したり顧客が離れたりということも現実に起こります。買収というのはそれだけ多くの失敗の危険に満ちたものだということを、まず認識しておく必要があります。
そもそも100%成功確実な買収などなく、買収すればなんでもうまくいくという考え方は危険で、買収にまつわるリスクをきちんと認識することが買収成功への第一歩です。
買収のメリット
M&Aでは、目的によって「戦略型買収」と「投資型買収」に分かれます。
戦略型のM&Aは、買収した企業の事業を継続するのが前提となっており、ニーズに応じて、販売ルートの早期取得、市場の早期拡大、異業種参入の時間短縮、競争力強化などの目的があります。買収を成功させることにより、「時間を買う」ことができます。
例えば、事業戦略として事業の多角化を図りたい場合、新規で始めるとなると、必要な特許や許可を取得したり、設備をつくったり、経験者を探して雇用したりするのに膨大な時間がかかります。しかし、既存の企業や事務所、店舗を買収すれば、それらをすぐに受け継ぐことができ、失敗のリスクも少ない。
それに加えて、「シナジー効果」が挙げられます。
シナジー効果とは、M&Aによって、元の両者が持っていた価値の総和以上の価値が生み出されることを言います。「1+1が2以上になる」とも表現されます。
販売ルートが倍になる、一括仕入れができるようになり仕入れコストが削減できる、その他にも生産や技術、資本、経営管理など様々な効果が期待できます。
M&Aの基本的な流れ
ニーズの発生
相手探し
秘密保持契約の締結
基礎情報の開示・交換
基本条件のオファー及び交渉
基本合意書の締結
買い手によるデュー・デリジェンスの実施
最終条件交渉
本契約締結
契約要件(時期・資金・承認等)の充足
クロージング
成功に導いて行くためには、この投資は何のために行なうのか、何の意味があるのかという目的意識を明らかにして当事者全員で共有することがM&A成功の基本です。
一般社団法人M&A適正管理機構
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取得資格
・M&A情報管理士