今日のポイント

・これまでの英語学習法は英語大好き人間が考えた方法だ。この連載では、英語嫌いな人が嫌いなまま上達する方法を提示する。

・読者のみなさんはすでに相当の英語力を持っている。それを引き出せば、しゃべれるようになる。

 

ここで伝えていくことは、学ぶというより、今、自分の中にある英語力を掘り起こす、と言った方が近いのです。

人に物を教える教師という職業には、もともとその科目が得意な人が就きます。

英語上達法を説いてきた人たちは、ほとんどすべての人が「英語命」というくらいに好きだったのでしょう。

この方々の英語力は非常に高いでしょうが、「英語ができないつらさ」は分からないのです。

 

24歳のときに目標を決め、この瞬間から英語の勉強に力を入れました。けれども、嫌いなことを続けることは、ぼくにとってとても苦痛でした。

株をやっているときはあんなに楽しく、いくらやっても飽きないのに、これと比較して、英語を勉強するときは、いたくみじめな気持ちになりました。

ぼくは

(1)どうしてこんなにも英語が嫌いなんだろう。

 (2)がんばっているのに、どうして英語ができるようにならないんだろう。

(3)そうした中でも「英語の力が伸びた」と感じる瞬間があった。あれは、どういう時だったのだろう。

を考えました。

 

 実力を伸ばすには(3)だけを考えればよかったのですが、自分が英語ができない引け目と折り合いを付けていくには、(1)と(2)を掘り下げる必要がありました。

英語嫌いのぼくがどうしてペラペラになれたのか。

やり方を考えたおかげで、英語アレルギーが減り勉強がはかどるようになりました。留学に最低限必要な実力を身につけるのに3年かかりました。でも、もし漫然とやっていたら5年たっても力が付かなかったでしょう。

留学前に1カ月間の特訓コースを受講したところ、最終日に「海外でサバイバル(生き残り)できる英語力あり」と認定されました。この認定を受けたのは、30人の受講生の中でたったの2人。ぼくと過去に2年間の留学を済ませていた女性の2人だけでした。

この結果を聞いて、英検1級を既に取得していた短大生は先生に喰ってかかっていました。日本人はこういう場合、人前では先生に抗議しないでしょう。彼女は留学を控えて必死だったのです。英検2級程度の人(ぼくのこと)より、自分の方が文句なく英語ができると言い出しました。

先生は、「皆どう思う?」と、生徒に問いかけました。

そこは日本人同士ですから、明確な賛成や反対が出てくるわけはありません。

ただ、教室の雰囲気は「そりゃ、先生の言ってる通りだよ」というものでした。先生だけでなく他の生徒もぼくのカタコト英語に軍配を上げたようでした。

カタコト英語でも英検1級に勝てるのです。

今思えば、ぼくは「銅メダル英語」の域に達していたのでした。

(「英検1級にも勝てる銅メダル英語とはどういうものか」については後日説明します)。

ただし、先生からサバイバルの英語力を認定してもらったものの、ぼくはこの後、海外で英語の失敗を繰り返しました。そうした体験を通して編み出していった方法が、これからみなさんに紹介していく学習方法です。

 

「本当は相当の英語力がある」ことを気づいていないだけ

 

銅メダル英語をどうやって実現していくかについての方法はこれからじっくりお話ししていきます。その前に、読者のみなさんに理解いただきたいことがあります。

それは、みなさんは「相当なレベルの英語力が既に身に付けている」ということです。

自分を低く評価してはいけません。

「そんなことないよ。全然しゃべれないんだから」と思うかもしれません。

曇った鏡は磨けばすぐに光るようになります。同じように、皆さんも曇った英語の力をちょっと磨けば輝くようになるのです。

 

高校で学んだことを思い出してみましょう。

例えば、数学では三角関数、古典では柿本人麻呂、化学ではイオン化傾向、世界史ではアケメネス朝ペルシャなどを学びました。これらの名称を聞くと、「そう言えば、そんなことも習ったなあ」と思い出す程度でしょう。これらの知識は、その専門分野に進んだ人以外は社会に出てから全く使うことのない知識だからです。

つまり、高校というところは、そこまで高度な知識体系を教えているところなのです。同じように考えれば、英語にしてもその教育内容は決して低いものではないはずです。

三角関数にしろ、柿本人麻呂にしろ、高校を離れて何年もすると、再び思い出すには時間がかかります。しかし、いったん習っているので、全く初めからやるのと違い、少し手ほどきを受ければ習熟できます。英語も同じです。

「高校では英語を勉強した記憶が全くない」とか「卒業して数十年もたった」という人もいるでしょう。それでも大丈夫。実はこの連載は高卒レベルは要求していません。

中学の英語がちゃんとできれば日常会話は問題なくできるのです。

銅メダル英語は当然のことながら、金メダル英語、銀メダル英語にはかないません(「金メダル英語」「銅メダル英語」についても次回以降、説明します)。

ただ忘れてほしくないことは、オリンピックを見れば分かるように、銅でもメダルはメダルです。銅メダルでもメダルを取れれば相当の実力だということです。

現在曇っている英語力をブラシュアップするだけでメダルレベルの語学力に到達できるところがこの連載のミソなのです。