【林則行氏のコラムより】英語、本音の上達法!VOL.2

※実際のコラムはもっと長いのですが、紙面の都合上ポイントのみお伝えしています。
■今日のポイント
・英語学習の方針:最もやさしい「話す力」に絞って取り組む。「聞く」、「読む」、「書く」は当面ばっさり捨てることで、学習の効率が一気に上がる。
・話す行為は自分の語彙の範囲で自分のペースで行える。単語や表現を覚えただけ伸びを実感できる。劣等感にさいなまれることがない。
「読む」「聞く」「話す」「書く」、あなたならどれを最初に勉強しますか?
この連載における提案はこの4つを一度にうまくなることを考えないで、「まず一つだけ挑戦する」というものです。その場合、4つ同時にやるのに比べて、その一つの上達は4倍の速さになります。
しかも、いちばんやさしいものから攻略していくのです。みなさんだったらどれから始めますか?
(1)書く
英文を書く機会って多いでしょうか。
(2)読む
「日本人は話せないが読むのは得意だ」と言う人がいます。これは本当ではありません。なぜかというと、単語力が圧倒的に欠けているからです。
試しに新聞の好きな記事を選んで、英語の単語が思い浮かぶかどうか試してみてください。
(3)聞く
「日本人の英語発音は分かるが、外人の発音は全く聞きとれない」という人も多いでしょう。
外人と付き合いのある人の多くは、早口でガンガンしゃべられて閉口しているはずです。誤解のないように言えば、外人はわざとまくし立てているのではありません。相手が日本人だということで、本来のスピードよりかなりゆっくりしゃべっているのです。でも、われわれには機関銃のように聞こえてしまうのです。聞き取りは4つの中で群を抜いて最も難しいのです。
(4)話す
実はこれが最も簡単です。
先程の「日本人は読むのが得意だ」という神話は「話したり聞いたりする会話は苦手だ」という英会話に対する劣等感の裏返しの表現ですから、話すのが簡単と言われると驚いてしまう方がいることと思います。会話が難しいのは聞き取りが難しいからで、話すのはそれほどでもありません。
話す、聞く、読む、書く、の4つの力は大きく分けると、アウトプット(自分から人へ)とインプット(人から自分へ)の2つで、前者が「話す、書く」、後者が「聞く、読む」です。
インプットに比べて、アウトプットの方がインプットに比べて圧倒的にやさしいのです。
インプットは相手のペースですが、アウトプットはこちらのペースです。自分がよく知っている単語だけを使って、自分が話せるゆっくりとしたペースで話していいのです。
アウトプットでは単語を一つ覚えるたびに話せる範囲が広がります。自分の伸びを最も実感できる方法が「話すことから始める」方法なのです。
英語の上達も同じです。最も抵抗の少ない方法を続けることが重要です。
「上達法の骨子は分かった。話すことだけに集中して取り組むんだったら、上達しても、話しかけられたら相手の言っていることがまるで分からないっていうわけ?」
という疑問がわき起こるのは当然です。
実は、話す力が伸びて来れば、当然、聞き取りの力が伸びます。
さらに、単語力もついてくるので、文章を読む力ももちろんついてきます。ただし、当たり前ですが、話す力だけが断トツに伸びますから、「自分は話せるが聞けない」という状態になることは確かです。
銅メダルレベルは「相手に自分の意思を伝えることはできる。でも聞き取りが苦手だから相手の疑問・質問には答えられない場合がある」という問題が残っているレベルであることは認めなくてはなりません。
「それでも困る。話せるようになりたいけど、聞き取りもできるようになりたいし、読み書きもできるようになりたいよ」と思う方がまだ居るのではないでしょうか。
ここは大事なところです。そうやってすべてを満遍なくやろうとしてきたから、今まで成功しなかったのではないでしょうか。
強固な城を攻める際には、全体的に攻撃するのではなく、いちばん弱そうな個所を重点的に攻めることが大事と言われています。
まずスピーキングに集中する。そして、スピーキングがある程度うまくなった時点で、後の3つの力については考えればいい、というのが英語という難城を落とす最短のコースなのです。